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すべての思いを叶えたい。私たちは入院患者さんとバーベキューしちゃう病院です!
島前病院みんなのお母さん。作業療法士 向原が、患者さんとの思い出を語ってくれました。
子供の頃から知っている近所のおじさん。
昔から口調が荒くてはっきり物を言うので、会話する時は少し緊張する相手でした。
前立腺がんのターミナル期を迎えていたけれど、入院しても相変わらず口調は強いし、知り合いの私には良くも悪くもわがままを言って過ごしていました。だけど体調は日々思わしくなく、少しずつ、しんどい。動きたくない。と後ろ向きな言葉を口にする日が増えていたある日。うきうきと嬉しそうな顔が話しかけてきます。
「院長が、肉があるけんバーベキューしようと言ってたぞ」
「え?ここで?」
私はとても驚きました。
院長本当にそんなこと言ったのかな?と疑心暗鬼な私に対して
「桜の咲く時分にやりたいな。」
と、本人はもうすっかり実行するつもりの様子。
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それから私の顔を見れば毎日のように、ほんとにバーベキューしてくれるか?と聞いてきます。その度に、暖かくなって桜が咲いたらね。とはぐらかしていました。だけど、日に日に食欲もなくなり、元気のない日も多くなってきて、『おじさんに残された時間には限りがある』と思わざるを得なくなりました。楽しめるうちに実現してあげたい!という思いが強くなった私は決断しました。
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「入院患者さんとバーベキューがしたいんだけど…」
こんなむちゃくちゃな私の提案に、すぐに協力者が集まってくれました。そして、主治医、担当看護師を中心とした看護部、リハビリスタッフ、管理栄養士、薬剤師など病院中のスタッフを巻き込んで準備が始まりました。
お肉を準備する人、バーベキューコンロを用意する人、野菜を持ってくる人、自然と分担ができていきました。
バーベキュー当日。
準備からたくさんのスタッフが集まりました。
そのスタッフの輪の中心では、火起こしはこうしたらいい、肉はああしたらいいと口出しながら活気を見せるおじさんの姿がありました。
それは入院中に見せた一番元気な姿でした。
「あーうまいな、うまいだけだわ。」
「またやりたいな。」
わがままだなと思っていたおじさんのその笑顔は、今でも昨日のことのように鮮やかに思い出されます。
あの時、バーベキューやろう!と思い切ってよかった。
おじさんの最高の笑顔が見られてよかった。私ひとりでは到底叶えてあげられなかった患者さんの願いを「良いじゃん!やろうよ!」と協力してくれるスタッフがこの病院にはいます。
患者さんに「肉があるならバーベキューしましょう」と言ってしまう院長。場所は会議室にしようかと計画しているのを知って「室内はだめ!外にしなさい!」と怒る看護部長(笑)
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みんなが患者さんのことを一番に想い、患者さんの幸せを考えている人が正しい病院。