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休日〜螺鈿(ラデン)〜

螺鈿、聞いたことあるでしょうか。

よく手持ち鏡だったり、名刺入れだったり、小物入れだったり、韓国に行けばお土産屋さんで売られているので見たことある方は多いのではないかと思います。

大きいもので言えば、タンスなどの家具も螺鈿で作られているものもありますよね。
ドラマでも時々出てきます。

これ、実は貝殻からできています。

加工される前の貝

とても綺麗だと思いませんか?
韓国語では나전칠기(ナジョンチルギ)と言います。

古い歴史からいうと多分いまの中国からきたもの、だと思います。
日本にもあったのでしょうし、韓国にも古くからあったそうです。

詳しいことは分かりませんが、ソウルにはその螺鈿細工の小さな工場!?が集まっている地域がありまして。
(この情報は古いので現在はもうないかもしれません)

何かの機会にそこに立ち寄った際に、何故かそこの螺鈿細工を1人で作っているアジョシと親しくなりました。

そしてこれまた何故か、休日に定期的にアジョシに会いにいくようになりました。

工場といっても狭いところなんですが、アジョシはそこで1人で螺鈿工芸品を作っていました。

行けばいつも笑顔で迎えてくれて、スティックコーヒーを出してくれるアジョシ。
狭い工場であちこちに工具が散らばっているようなところでした。

そこでアジョシがいつもいろんな話をしてくれました。

その螺鈿細工は、この辺りは昔はたくさん工場があったのに今はだいぶ減ってしまったこと。あの当時で、あと数軒だといっていました。
アジョシも息子がいるけど、いま大学生で、この仕事は継がずに企業に就職することを目指していること、そしてアジョシ自身もそれを望んでいるということ。

となると、いずれこの工場はどうなるのでしょう??
また1人、螺鈿細工の匠がいなくなってしまう。こうやってどんどん継ぐ人がいなくなって消滅してしまうのか。

その話を聞いた私は、本気でこの螺鈿細工の技術を学ぼうかと考えました。
アジョシの跡を継がねば!!この綺麗な螺鈿細工を後世に残さねば!!と。

日本にもよくいるじゃないですか、日本の伝統工芸品を何故か欧米の人が継ぐっていう。あれですよ、私もここでは外国人だけど、日本人が継いだっていいんじゃないか?と。

その考えをアジョシにいうと、一蹴されました。力がいるんですって。
機械を見せられ、プレスしてこうしてああして。女の子には無理だよ、って。

貝殻がこのようになります
さらに加工されたもの

たしかに、それを見ると無理でした。力仕事でした。本当に手作りしていたからですよね。

というわけで螺鈿工芸家になる道は絶たれましたが、アジョシとのおしゃべりが楽しくてよく通っていました。

見るだけでうっとり
本当に綺麗


トップ画像はアジョシにもらったもの。手持ち鏡になる前のもので、裏にシールが付いています。

今でも私の宝物です。

とある休日の過ごしかたでした。

アジョシ元気にしてるかな…。

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