番外編〜ソンウの帰国②〜
ケンカ勃発からほんの数日後、ソンウは帰国した。
あれから険悪ムードが続いていて、シェアハウスの中は冷たい風が吹いていた。
ソンウが「なんで僕の帰国前にこんなことが…」と呟いたのを覚えている。
当日私はお見送りにはいかなかった。
玄関でバイバイをして、ソンウが出ていった後、私はがらんとした家にいられなくて、飛び出した。
その時の心境をよく覚えている。
ソンウがいないあの家にはもう帰りたくない。
ソンウがいなければここ(シドニー)にいる意味はない。
そんな思いがぐるぐると頭の中を駆け巡り、とりあえず家を飛び出た私は、行き先が特になかった。
今たまたま暇をしてるという日本人の男の子(Yくん)と連絡が取れ、Yくん家へ転がり込んで行った。
そして、Yくんの家で朝から夕方までずーーっと泣き通した。
今思えばYくん、本当にいい迷惑だったと思う。
Yくんの1日を完全に無駄にしてしまった。
ひたすら泣いてる私に、Yくんは特に何もせず何も言わずだった気がする。
というか、あんなにずっと泣いてたら何も言えなかったと思う。
そろそろ帰らなきゃさすがに迷惑だと思ってバイバイして帰った記憶がある。
でも確か後日、辛い時に何もできなくてごめん、的な内容の手紙を長文でもらった。
ソンウの帰国は私のシドニーでの生活をガラッと変えてしまう出来事だった。
これ以上ここにいても意味がない…
自分の帰国も視野に入れ始めたきっかけになった。
つづく