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クリスマス短編集:3つのクリスマス

  • 「私のクリスマス」

  • 私はよくいるもてない女

  • 仕事はそれなりにして、帰宅する。

  • 私の美しさに自分だけ気づいて誰も気づいてくれない。

  • こんなに魅力があるのに。

  • そうやっていつも布団に入る。

  • そして繰り返す毎日。

  • 誰か気づいてくれないかな。

  • 少し寂しくて、大切で、ささやかで、そんな気持ち。

  • もうあきたのに。

  • いつもの帰り道。

  • いつも、通り過ぎる人々

  • 毎日すれ違うとそれなりに他人ではなくなる。

  • 他人だけど他人ではない。

  • 気軽に声をかけられてれば私こんなんじゃない。

  • そして今日も布団に入る。

  • もう、いい加減慣れてほしいこの気持ち。

  • 今日も仕事を終えて帰る。

  • またいつもの帰り道。

  • 今日はクリスマス。

  • そんなもの私にはいつもの仕事の日でしかなくて。

  • 早く家に帰ろう。

  • 私の愛の行き場はいつも家族に向けられる。

  • それが余計に私をさみしくさせて。

  • こんなにいい女いないんだから!

  • いつもの帰り道。

  • いつもの人とすれ違う。

  • 今日はあの人もマフラー。

  • どこで小指のいとがつながっているかなんて。

  • 私には。

  • 私の恋はいつも片思い。

  • 何事もなく終わっていく。

  • いつになっても慣れない。

  • 家でテレビを見ていると電話が。

  • 私の友達からだ。

  • 「どうしたの?」

  • 「あんた彼氏いないよね」

  • 「今度男の人と会ってみない?」

  • 「私の友達なんだけど」

  • 今日はクリスマス。

  • さあ、この機会がうまくいくはわからない。

  • でもね、私の心は跳ね上がる。

  • 今日はクリスマス。


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「僕のクリスマス」


  • 僕は今日も仕事。

  • いつもの帰り道。

  • すれ違う人はいつも同じで。

  • あ、今日あの人いないな。

  • なんだか静かな雰囲気で真面目そうなで僕には素敵に見えるあの人。

  • 今日はいない。

  • 家に帰ると親父と母親のお帰りが出迎える。

  • 「ただいま」

  • 「お帰り~」

  • 「夜ごはんできてるわよ」

  • いつもの日々。

  • だんだんと親への思いやりは年齢を重ねるごとに深みを増していく。

  • さて。

  • ゲームしてねよ。

  • いつもと変わらない日々に慣れて社会人も板についてきた。

  • 仕事は楽しい。

  • でも、なんか足りない。

  • そろそろ精神的にも物理的にも支えてくれる人が欲しくなる。

  • 今日も帰り。

  • あ、いつもの人だ。

  • 今日はマフラーしてる。

  • もう12月

  • 気にかけるのは一瞬でいつもの帰り道に戻る。

  • さあ、今日もゲームでもするか。

  • いい加減。浮ついてきた心にもうんざりしてきた頃だ。

  • この辺で。

  • また一週間が始まる。

  • そしてまた帰る。

  • そしてゲーム。

  • そろそろ行動しなきゃな。

  • 休日女友達と会うことになった。

  • おしゃべりして。その時さりげなく彼女ほしいみたいなことをつぶやいたのだろう。

  • 女の子を紹介してくれることになった。

  • そろそろ行動を起こさなきゃと思っていたので、ちょうどよい機会だ。

  • さあ、どんな人と会えるのか。

  • 僕に合うかな。

  • いつもの帰り道、いつもの人とすれ違う。

  • あ、あの人今日もいた。

  • 今日はクリスマス。

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「いつものクリスマス」


  • 僕は光。

  • 愛の証。

  • 僕が僕として生まれる前の。

  • 僕が選んだ家庭はごく普通の家庭で。出会いは友達の紹介でごく普通のもてない女と、ごく普通のゲーム好きの男。

  • なんで選んだかって?

  • それはね。

  • 僕が幸せにしたいから。

  • 何でもない。ごく普通の家庭。

  • そこに僕。

  • なんてささやかなんだろう。

  • きっと幸せにするから。

  • 僕が生まれれば二人の人生はきっと今以上に間違っていなかったとそう確信するから。

  • 今よりもっと。

  • そして僕はその夫婦めがけて飛んでいく。

  • やがて僕の今までの記憶は溶けて。

  • やがて二人を見ていた時の記憶も薄れて。

  • そのもてない女のおなかにこっそりと宿る。

  • 今日はクリスマス。

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