はじめての最後#15
前に投稿した内容でいくと
彼とのことは諦めるつもりだったのだが。
酒が抜けて冷静になった私は、結局、、、1日置いて彼に連絡してみた。
往生際が悪い。
何気なさを装ったメッセージを。
でもそこにはハッキリと、今週会いたいという思いを込めた。
やっぱり、もう一度2人で会いたい。
他所の女の人と、楽しそうに酒を飲みはしゃぐ彼を見ることが、地獄のようだったけれど…
落ち着いて思い出してみた。
そもそもあの店で、この2年の転勤中に築いた彼のあの店での立場があって。
そこへ私も顔見知りになって、私が勝手に恋して、彼はそれを受け止めてくれた。
けれども、彼に遠距離恋愛中の恋人がいることも、あの店で知っている人は多い。例の吉瀬美智子似さんがご存知かは知らないが。
そんな中で、常連同士が、いい大人が、
イチャイチャするとか、ありえないのだろう。
まぁ私がその立場でも同じかと思う。
この地を去る目前の今、捨てるのが明白な状態で常連に手を出した奴というレッテルをわざわざ貼られたくはないはず。
その環境は少し考えたらわかるはずなのに。
子供じみた嫉妬心と、あの店で2人きりの時とは違う対応の彼を冷たいと拗ねるなんて。
情けないけれど
私は我儘で子供でどうしようもない。
初めに「期間限定でもいい」なんて大人ぶった言葉を
彼に言ったのは自分のくせに。
このアホ女がなぜ反省したかと言うと、
彼は私が忙しい?と聞いたことに対して
「ぽちぽち」と。
?
きっと、ボチボチ、という所を少しふざけてみた的なことだろう。
私のガチガチに凍った彼への想いを、このたった一言が湯気をたてて溶かしていく。
なんだそれ。ぽちぽちて。
全然面白くない。
けど、、、息が止まるほど可愛いんだよ。
もうやめてよ。
「飲みに行こ」に対しては、
私の住まいに通る沿線の名前を出して、
「○○線沿いで飲みたいけど店知ってる?」
と聞いた。
たったそれだけのメッセージだけど
私は彼のことが、優しい と思った。
前回飲む約束だった時、遅くなった彼を車で迎えに行って、どうして電車で来なかったのかを説明したが、それまで彼は私の乗る電車の終電が早いことも知らなかった。
その時のことを思い出した。
そのことを気にしてくれているのかな。
なんて優しい人なんだろう。って。
残念ながら、その沿線上にはいいお店は無い。
結局はいつもの地で会う約束をした。
そして絶対に開いているいつものbarに行く選択肢は無いようだ。
「なんでどこも23:00に閉まるんだ」
とボヤいていた。
クタクタなのに、彼は検索してくれている。
つまり、あのbarは選択外ということ。
今は多忙で、毎日23:00過ぎて帰宅する人なのに
もしかしたらすごく遅い時間になるかもだけど、と
前置きをして、それでも会ってくれるらしい。
ワガママだよね?
最近忙しくて、なかなか早い時間に食事をしたり出来ないはずで。私はそれを知っているのに。
でも受け入れてくれた。
メッセージの最後は、安定の既読スルーだけど。
おやすみも何も言わない人だけど。
たとえ夜中でもいい。
1時間しか一緒にいられなくても、いい。
2人きりで会えるなら。
金曜日だったら彼もゆっくりできただろうが、金曜日は行けないらしい。
まさか先約が…と頭をよぎったけれど…
もう、いい。
もういいよ。あと1ヶ月しかそばにいない。
どんなに泣いても、縋っても、彼は去る人なのだ。
自分だって、そう。
絶対に裏切ってはいけない男を、抱えているのに。
ほんの少しでも、彼を独り占めできる時間が欲しい。
もう一度だけになったとしても、どうしても彼のあの手を握りたい。
この恋が、私の人生で一日でも多く刻まれて
理由もなく惹かれてしまった彼を、長い間思い出せるように、しっかりと見ておきたい。
彼の心にも、私なりの最上で刻まれたい。
少しでも惹かれてくれているなら
優しさを向けてくれるだけの好意があるなら
彼の人生の、一人の女として覚えていて欲しい。
何人もいてもいい。
彼を独占する権利など、私にはないのだから。
次に会う約束をした木曜日は、もうカウントダウン。
だと覚悟しなければいけない。
これが最後かもしれない。
もしかすると
セックスした相手だから、最後に律儀に時間を作ってくれたのかもしれない。
残り1ヶ月、もう何度も会えないと思っていないと。何度も言うが、最後になるかもしれない。
彼の目に、どの私が1番綺麗に映るのだろう。
何を着て、どんな顔で、彼と会えばいいのだろう。
ただ、彼の仕事の状態で言えば
今回も流れる可能性もある。
会う約束はしたけれど、会えないかもしれないと思っておかないと。
あと何回会えるかわからないだなんて。
なんて残酷な恋をしてしまったんだろう。
自分に言いたい。
会えたとしても…
絶対泣くな。
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