はじめての最後#14
ニコラシカを2杯飲んで、昨日の私は盛大に酔っ払った。
行きつけのbarのマスターによると、彼はあの後
吉瀬美智子似さんと無事に連絡先交換をしたらしい。
1日経って少し冷静になっていた私だったが
その情報を耳にして、やっぱり動揺してしまった。
そしてニコラシカを飲もうと決めた。
彼はあの人と…
もう私に会おうとする時間は、彼女との時間に変わるのだろう。
彼からの連絡は、きっとなくなっていくのだろう。
彼を想う気持ちを、どこにぶつけたらいいか
探さないと。
昨日マスターに
「もう諦めた方がいいよね」と聞いたら
「新しい出会いを探した方がいい」
だと。
客観的に見て、そう思うのだからそうなのだろう。
終わった。
彼の優しい手が私の手と繋がれることはもうない。
ご飯を一緒に食べることももうない。
待ち合わせに走ってくることもない。
彼がお土産を選ぶのは 私ではない人のためになる。
彼と会うために買った服達は、色褪せた。
彼とのささやかなメッセージも、もうない。
もう少しだけでも、彼を感じたかった。
1ヶ月、たった1ヶ月で終わりを迎えた。
どうせいなくなるのだから、せめて私の見えないところだったら騙され続けられたのに。
残酷だ。
出会った思い出の場所で、心をえぐられるなんて。
もうあのbarには行くな、ということか。
本当に本当に、本当に、本当なの?
そう訴える自分が、痛い。
彼とのメッセージは、あの日彼とやり取りをしたまま、更新されることはないのだろうか。
彼の心は…
あの日私を見つめたあの目、彼から握ってくれた手
全部嘘だった?
いや、嘘では無い。
ただ、心変わりしたのだろう。
引き寄せる魅力が、私にはなかったのだろう。
自信を失った自分を、どう扱ったらいいのか
わからない。
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