はじめての最後#12
どうにかなりそうな夜を迎えていた昨夜。
その後3時間ほどした頃、彼はまたメッセージをくれた。
最初にくれた「第1関門」のくだりから、まだ数時間お仕事をしていたらしい。つまり最初のメッセージは仕事の途中でくれたということ。
一旦、幸せに溺れていいですか。
大好きな人が仕事中に私を思い出してメッセージをくれた…その心はわからないけど、でも、人間の脳内で起きた衝動で携帯を持ってメッセージをするという行動になったという事実は、私を幸せ沼の底まで、重りを鎖で繋がれてゴボゴボと沈める。
前の夜は、午前1:30まで仕事をしていたらしい。
その後いつものbarに行ったよ、と。
報連相だったらしい。
オトコが報連相したい気持ちは何ですか。
私との約束を無くしたことに罪悪感を感じて、本当にこれくらい大変だったんだよと断った自分の言い訳をしているのか?それとも、教えることで安心させようとしているのか?
言い訳するほど、自分を身の丈より良く見せたいような人では無い。
そもそも、忙しいことが嘘だったり断り文句ということは無いだろう。
きっと安心させようとしてくれたのだと、感じる。
間違っていてもいい。
この人にだったら騙されてもいいのだもの。
テレビのニュースで騒がせている、結婚詐欺師と被害女性の映像を見ながらぼんやり考えていた。
その金額や嘘の経歴などの情報は、退屈な他人にとっては、面白く興味関心があるのだろうけど、私はその被害女性にもっと違うことを尋ねてみたい。
詐欺師との未来を信じた貴女は、馬鹿な女じゃないはず。持てるだけの財産を貢いだのは、騙されてもいいって思ったんだよね?
すごい恋だったんだね?って。
まぁ、本当のことって、トップニュースのメディアからはいつだって何ひとつ知ることは出来ないけれど。
それから
仕事中に私を思い出してくれたことの次に、
やっと職場を後にできる時、またメッセージをくれたのだ。
「今から帰るとこ」だって。
そのままほんの少し冗談とも取れるやり取り。
お笑いのセンスは皆無であろう彼、だがお茶目さは持ち合わせている。
激務の彼にとって、ささやかな癒しの対象になれているとしたら、と想像するだけで喜びが溢れ出てくる。
そんな想像を掻き立てられたら言えないじゃないか。
「会いたい」なんて。
今すぐ駆け寄って、彼のぬくもりに触れたくて
彼の笑顔が見たくて堪らないのに。
短い秋が、私をとことん焦らせる。
さて。
昼間に、愛車のオイル交換をお願いした車屋さんからの電話。
「修理しないとダメ」
なんと。このまま乗っていたらオーバーヒートしていた可能性もあるとのこと。
オイル交換が遅かったようだ。
もう乗り換えちゃう?と言われたが。
何よりまず気になったのは…
あの車が無くなったら、、、彼と初めてお互いを求めあったあの空間が、、、絶対いやだ。
だった。
少々値は張るが、絶対治してとお願いして代車で帰ってきた。一刻も早く、愛車が戻りますように。
代車が好きになれるように、代車でもキスしてくれないかな…
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