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はじめての最後#21

アメリカ大統領選のおかげで、彼発信のメッセージがきた。

昨夜お仕事帰りにいつものbarに行った。
昼間に作ったコロッケと、マクドナルドのマカロンを持ってお客様とのアポイントに向かい、終わったらbarに届けるつもりで。

この夜も、友人と  はじめての最後#番外編  で出てきたアイツは2人で飲んでるらしい。
アイツ自身から連絡が来ていない私は、仕事があるから合流しないと友人に告げて、仕事が終わってから1人でbarへ行った。敢えてbarに行くことも言わなかった。

店に着いて、マスターとゆっくり話そうとした矢先。
「来ましたよ」とマスター。
まさか彼が?こんな早い時間に?
と全身で期待して振り返ると、
そこには友人とアイツが。
「なんで来るんだよ」と第一声が出てしまった。
それはごめん。
アイツの前では、マスターと彼の話しをすることはできない。心底ガッカリ。
友人は私がアイツに会いたがってると思って、私がいるであろうとわざわざ来た様子だった。
結果3人で楽しく飲んで、アイツも友人も楽しそう。
シラフでガッカリの私は、白湯を飲みながら心の中はなんとも言えない気持ちだった。
吹き出しの中に、ぐしゃぐしゃに書いたあの感じ。
そこへ
以前登場した実業家の男がやってくる。
一緒にワインバーへ行く約束をした男が。
もう1個ぐしゃぐしゃの吹き出しが。
ため息。
有名人だからアイツも知ってる実業家。
一緒に飲みに行く話しを聞いていたアイツは、帰り際
「俺アイツ好きじゃない」
「あたしも別に」
「好きじゃないやつと飲みに行くな」
うるせー。
お前は嫁と大人しく過ごしてろ。
とは言わず、バイバイと手を振った。
この夜のbarには、彼には登場して欲しくなかった。
絶対に。
でも来る気がしていた。
彼のルーティンで行くと、この夜の23:00過ぎたあたりからここへ来る可能性はかなり高い。
だから友人とアイツに
「もう帰ろ。ほらほら。行こ。」と23:00前に急かして、3人で店を出たのだった。
友人を車で送って、家路に着いた頃
助手席の携帯画面が光る。
「トランプ、、、」
「残念なり」
と。
仕事が終わってニュースを見たであろう彼からの
2行のメッセージ。
その後、いまいつものbarにいるなう、と。

よかっ、、、、、、、たああああああああ。

早く店を出て正解だった。
ややこしい。
元カレ的な男と、今カレ的な男と、
どっちも不確かな、曖昧な、身体は繋がったけど…みたいなふたりと同時に同じ空間とかシンドい。
紹介とかも絶対したくない。
さらに実業家は空気を読めず言いたい放題の人だから。リップサービスであっても、私を口説くような話しをまた始めたら、もっとややこしい。

とにかくそれは避けることができた。
それにしても、色々知ってるマスターは見ていて面白くて仕方ないだろう。

さて。
彼から時事ネタのメッセージがきた。
言いたかったってことは、私を思い出したのよね。
幸せ。
その幸せな気持ちに乗っかって
「顔みたかった」
「○○にあいたいよー」
「ねる」
と思わず会いたい気持ちをメッセージして、携帯を投げて寝た。
今朝私が起きた時点では未読。
はい未読ー。
でも出勤前に見たら、既読がついていた。
見た。
あいたいよーって言っちゃったのを見た。
そして無反応。
いつものことです。もう慣れたし。

巷では、よく
男にとってLINEは連絡ツール
女にとってLINEは会話ツール
とか言いますでしょう?
では今回の彼から来た時事ネタについて言うと
私だって現代社会に生きており、ニュースくらい見るんですよ。トランプさんが当選確実ニュースくらい知ってますよ。
だから彼に教えてもらわなくても知ってます。
あなたが副大統領推しだったかとか、話してないじゃん?なんで私もガッカリしたと思ったの?
対抗馬には敢えてそんなこと言わないものでしょ?
つまり言いたいことは
理由はなんであれ、そっと肩をとんとんするくらいに私とコミュニケーション取りたかったんですよね。
そして彼にとって、私は
当たり前のように同意見であるだろうと自然に染み込んでいるんですよね。
大袈裟に言えば、我がモノだと認識している、と。

最高!
幸せ!
そうだよ。私の心はあなたが鷲掴みよ。

昨夜の至極淡白なメッセージやりとりを、このように変換して幸せに溺れていく私は、究極にポジティブなあほだ。
あほはあほらしく、素直に会いたい気持ちを送った勇気に盛大な拍手を送ろう。

本当は、いつもちゃんと食事ができない彼に、
今夜あのbarに行くであろう彼に、
コロッケが届くといいなと期待してじゃがいもを潰していた私は、いじらし過ぎるだろ。
バイトの子とアイツが全部食べちゃったコロッケ。
あーあ。

アメリカ大統領選。
世界にとっても私にとっても、きっと忘れられない選挙戦になった。



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