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牢屋からの手紙

珍しく手紙が届いた。
子供達へと私へ。
この人からくる手紙は、大概が「ゴメン」と謝ることばかり書き綴られている手紙。
今回もそうだった。
フラフラと余所見ばかりしているバカ女が、落ち着いた頃に届くこの人からの手紙に、じんわりと胸が温まる。
パロールの件があって、11月末にあと半年と思ってからあっという間にひと月が経つ。
この調子であと5ヶ月か。
いつも携帯のメモ機能で、隙間時間があると彼への手紙を打ち込むという日々を過ごしていた。
このところ、よその男に心奪われていた期間、絵に書いたように手紙を書かなくなってたことに、恋が終わってから気づく始末。
わかりやすいんだな、私は。と自覚する。
今週面会に行った時、私の手首に何気なくはめてあった黒いゴムを見て
「ラブホテルでも行ったんか?」
と聞かれた。
「は?」
内心ものすごく動揺したのを上手く誤魔化せただろうか。多分大丈夫。ラブホテルには最近行ってない。
「なんでそんなこと聞くの?」
に対し、手首のゴムがラブホテルのゴムに似てると言っていた。
「よく知ってるね!」と言うと
「アナタと行ってたんでしょ」と。
微笑ましい時間が過ぎている空気感になった。

この度、この人の件でひとつの節目を迎えることになる。既に刑事的には決がついているが、民事的にも、ようやく決がつきそうだ。
これでこの人が出てくる準備の大前提が整う。
私だって、現実逃避と浮気だけを繰り返していた訳では無いのだ。
でも本人には何も伝えていない。言えば無駄に心配と不安が増して、生活や身体に乱れが出るだけだ。
ここまで1人でやってきたんだ。最後まで1人で片付けてやる。
そんな意地みたいなものもある。
2024年が終わる前に、ここまでこられたことに感謝しかない。
取り巻く全てのこと、人、時間にまでも感謝を感じる今日この頃。
あとは、彼自身がこの寒い冬を無事に乗り越えてくれ、と祈るばかり。
私もあなたが消えた家を、今から磨き直さなきゃ。
そして、少しでも綺麗なオンナで迎えられるよう、自分も磨かないと。

世間は聖なる夜にウキウキと心躍らせる。
うちも子供との大切な時間をがんばりますよ。
ただ、
いつもイベントを大事にしてきた男にとって、こういうイベントが来る度に心がえぐられるらしい。
私だってそうだった。
だけど、今。強くなった私は言いたい。
クリスマスなんてものは、2日過ぎたら終わりだよ、と。
孤独を憂うよりも、早くこの2024年を通り過ぎて、一日でも早く、一分でも早く、課せられた年月が過ぎて、新しい人生が始まりますようにと祈ろうではないか。
そして、新しい人生ではヘマをしないぞ、と誓ってみようよ。上手くいくか、は寧ろどうでもいい。

簡単に行かない人生を歩んでいる人は、簡単に上手くいく人には乗り越えられない才能があるせいで、迷路みたいなミッションが降りかかるけれど。
どんな生き方でもいい、その人生で。
自覚さえしていれば、それでいいと私は思う。
人生には、3つの坂があるんでしょ。
のぼりざか、くだりざか、そしてもうひとつの
まさか。
こうして生きている毎日は、いくらコントロールしようとしても、何かがおきる。
気がつくと長年培っていたつもりの価値観が変わっていたり、求めていたものが何かすら解らない大人に成り上がったり、突然恋に落ちたり。

これから何が起きようと、それは自分が知らず知らずのうちに選んでいる道なんだってことを学んだ。
そんな2024年、残り数日で終わります。

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