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Spirit by STEINBERGER XT-2 4弦ベースを改造した記録~完結編~

この記事は前回の続きです。

まず最初に結論を述べると、XT-2にEMG HBピックアップを2基載せて+18Vアクティブ回路を構成することは可能だった。ただし、ピックアップにはアクティブ用のトーンポットが同梱されていないので別途購入するかBTC Systemのような回路キット一式が必要になる。

アクティブトーンポットのみをEMG公式から買うと、79ドルにまた60ドルの送料がかかってきてBTC System18,200円を軽く超えてしまいアホらしいので、今回はおとなしくサウンドハウスでBTC Systemを購入した(注文翌日に届いた)。

在庫があったので助かった

で、以下のような構成で組み込み(※外部電源ボックスは前回記事参照)。

絵図面は手で書いてナンボ
実際の配線

で、完成したのがこちら。

XT-2 改二

いやー、カッコイイ。音も最高に良くなったしノイズも全く気にならないレベルで消えたし言うことなしですね。めでたしめでたし。

……というわけで以降は作業記録です。似たようなことやりたいという人は読んでください。

改造にあたり最低限必要なこと

BTC Control Pot用の取り付け穴の拡張

XT-2に元々開いているポットシャフト用の穴は直径約8.5mmである。EMGの普通のポットは無加工で取り付け可能だが、BTC Control Potのシャフトは9mmと若干大きいので穴を拡張する必要がある。手持ちに8mmのドリルビットしかもっていなかったので、多少コジって広げて、後は丸棒やすりで削った。穴の内部にも塗膜があってそれを削ったらシャフトが入るようになったようだ。

9mmとか10mmのドリルがあれば苦労は少なかった。

ブリッジのGND線を撤去する

これはEMGピックアップの取説に書いてあったことなのだが、アクティブの場合は弦をGNDに落とさなくてよいらしい。

IMPORTANT: EMG Active pickups do not require a string ground wire! DO NOT Reconnect the string ground, it is unnecessary

HB_HBCS INSTRUCTIONS

というわけで、前回の記事で「どこにもつながっていないGND線がある」とツッコんだのだが、標準状態はさておき、EMGのピックアップに載せ替えてアクティブ化する場合は接続しないのが正解だったらしい。

なお改造ついでに一度全パーツバラして構造を確認しておきたくなり、ブリッジを外してバラして掃除した。以下がその際の写真。なんとブリッジのGND線はブリッジ下面に接触しているだけで、はんだ付けなどはされていなかった。個体によっては接触不良も発生してるんじゃないだろうか……。

ボディとは5カ所ボルトオンされているだけなので簡単に外せる
ブリッジは本体とペグ(?)カバーに分かれていてこれもボルトオンされている
スタインバーガーのサドルは独特だが、バラしてみると構造が良く理解できてチューニング作業が捗る。特に高さ調整。ブリッジをボディから外さなくても分解できる部分なので一度やってみると良い
前回の作業でブリッジGND線はジャックのSleeveにはんだ付けしてしまっていたので、はんだは外さずボディから引き抜いて絶縁した後キャビティ内に丸めて収めた

ちなみにこのブリッジ、色味と感触からして銅製っぽい。少なくともスチールでは無さそうだった。なんでその素材選択なのかは不明だが何かしら理由があるのだろう……。

ピックアップ換装だけなら特に必要無いこと

EMG製エスカッションへの交換

今回せっかくやるならカラーリングにもコダワリたいということで、ブリッジ側ピックアップをボディと同系統のホワイトにした上でネック、ブリッジ両側ともエスカッションをホワイトにすることにした。

EMG製ピックアップなのだからエスカッションもEMG製にしたらよかろうということで、またちょうどサウンドハウスにホワイト(not アイボリー)のエスカッションの在庫があったので購入したのだが、ボディとの取り付け穴位置が純正とズレているおかげでそのままだと取り付け不可能だった。

面倒なので作業時のメモをそのまま載せます

ボディ側には横83.5mm(この辺微妙で84mmっぽくもあったので、エスカッション自作するなら84mmでよいと思う)、縦37mmの間隔でビス穴が開いているのだが、EMG製エスカッションは横80.5mm、縦36mmなので合わない。このような場合、以下のような方法が思いつくわけだが、今回はすでに買ってしまったエスカッションがモッタナイナイしせっかくならEMG製で染めたいと思ったので「1」の方法を採った。

  1. ボディにビス穴を開けなおす

  2. 他に適合するエスカッションを探して買う

  3. 純正エスカッションを塗装する

  4. EMG製エスカッションの穴位置をずらす

  5. エスカッションを自作する

ちなみに、現在のSteinbergerはGibson傘下だしXT-2のパーツもGibsonのパーツ流用では? と思ったのだがネットで寸法を確認できるエスカッションを見てみたが合わないようだった。ピックアップは独自生産らしいのでエスカッションも独自設計・生産なのかもしれない。

(※さらに余談だが、EMG製ピックアップ外形の横幅は89mmなのでピックアップ用のザグリ穴の横幅87mmに対して若干足りていない。ザグリ穴のヘリはRがかかっているのでよく見るとエスカッションの下が浮いているように見える。だがまあこれは誰も気づかないので今回は良かろうとした。エスカッション自作するならより完璧な状態にできるかもしれない)

木工用ボンド付けてつまようじを打ち込んで余計なところをカットして改めてキリで穴あけ

上図のように木工工作ではよくあるテクらしい「木工用ボンドとつまようじで穴埋め」した上で穴を開けなおした。

BTC Control Potの上段用ノブを削る

BTC Control Potは上下2段のコントロール(上段がTreble、下段がBass)になっており、上段の外径が下段の段つき部分に干渉するようで一緒に回ってしまう。
仕方が無いので上段ノブの下側2ミリほどをカッターで削った。これによりちゃんと上下ともに独立して回転してくれるようになった(画像は無し)。

ノブについて補足

EMGの純正ノブは硬質ゴム製のようだ。これはノブを操作するときにノイズを拾わないようにするための工夫なのかもしれない。加工性はある方だと思うが、反面塗装の乗りが悪い。
ノブの回転位置を見やすくするために白いタッチペンで溝を塗ってみたが乾いた後ひっかいたらすぐ剝がれてきたので結局全部剝がすことになった。ポジションを見やすくするには小さいドットシールなどを貼った方が良いかもしれない。

また、ノブのうちBTC Control Potは2段のツマミになっているので2段ノブしか適合しない。ほかの2つのポットとデザインを合わせるとなると極端に種類が限られてしまうのが難である。白いノブにしようかなと思っていたのでその点は残念。

収支

支出しかしてないのに収支もクソもないのだが、強いて言えば収益はベースギターへの理解と気持ちの良い音色とカッコイイ外観と自己満足というプライスレス! ……ということでざっと払った金額を以下に書き出してみる。

  1. 本体

    1. Steinberger/XT-2 Standard Outfit White:51800円

  2. 電源ボックス周り

    1. GOTOH バッテリーボックス BB-04W:3747円

    2. タカチ電機工業 MB型アルミケース MB10-5-7:1591円

    3. CANARE/カナレ TRSケーブル ステレオフォン-ステレオフォン:4720円

    4. SWITCHCRAFT 12B x 2個:940円

  3. ピックアップ改造

    1. EMG HB Black:14800円

    2. EMG HB White(105ドル+送料61.1ドル):27877円

    3. EMG BTC System:18200円

    4. EMG Flat 6 Thin White エスカッション:780円

    5. EMG Flat 6 Medium White エスカッション:780円

    6. 皿木ねじ:382円

    7. タジマ高耐久マーカー白:291円

……うん、あきらかに改造費用が本体価格超えてますね。このお金があったらXXXXのXXXXが買えたんじゃ……とは思うけど、その選択肢を取っていたらこれだけベースギターへの理解は深まらなかったしこのXT-2改二はここに存在してないんですよねぇ……。

というわけで、理想のスタインバーガーが手に入ったので、理想の腕を手に入れるために練習がんばるぞい!(死語)

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