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月の光

 作っては置いて、作っては置いて、中途半端な書き物が増え続ける。
 田んぼのあぜ道を自転車を漕いで進む。

 誰にも読まれることのない物語を書くのが好きだった。その間、僕は自分の世界に入り込めるのだから。僕がその世界の主人公なのだから。

 沢山の話を書いていた。毎日、空想した中に入り込んで、物語を紡ぐ。僕のノートはすぐに言葉で埋め尽くされる。
 そのノートはもう捨ててしまったのだけど。

 ただ、覚えているものもある。その一部を思い出しながら書いてみたいと思う。それは、おそらくエッセイに近いと思うのだが、小学校2年生に戻った気持ちで書いてみたい。
 言葉はいくぶんか変わっている。


 月が、夜のしずけさをじゃまする。
 ぼくは、ただ1人になりたい。
 光なんて必要ない。
 ぼくの世界には、月はいらない。
 ただのくらやみがあればいい。
 他には何もいらない。
 必要ない。
 くだらない大人たちが何を教える。
 そのくだらない脳みそで考えて何を教える。
 感情で話すのならば、やめてくれ。
 ぼくの頭がおかしくなる。
 ぼくは大人たちになんてなりたくない。
 こんなくだらない大人たちになんてなりたくない。
 自分の感情を守るだけならば、偉そうに言うな。
 認めろ。
 人に愛を伝えるものほど、自分だけが好きなことを。
 ぼくは知ってる。
 そんな人ほど、自分ことしか考えてないことを。
 恥ずかしいと思え。
 偉そうに優しさを言う前に。
 だから、夜に月なんかいらないんだよ。
 ただ、月が自分のためだけに、くらやみの中を光らせたいだけなんだから。


おしまい

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