記事一覧
生活
目を閉じて、耳を塞げば
生きる音
ぐぐぐぐぐと血は走り
ぎぎぎぎぎと軋む骨
朝昼晩、春夏秋冬
生きるほど
だだだだだと日は巡り
ごごごごごと迫る不安
始まらないことを嘆いては、終わることに怯えてる。
変われない自分に涙して、変わらない世界を願ってる。
そして、今日も白旗を振りかざす。
ショートストーリー「先人たち」
世界を変えたいと言った息子に父は言った。
寝言は寝てから言え。お前に何ができる。
お前はこれまで何をした。
やりたいことやってきただろう。
中には嫌なこともやったかもしれないが、そんなものみんなやってる。
世界を変えたいなんて笑わせる。
自分の生活もままならないガキに何ができる。
人ひとり守ることもできないぞ。
そもそもそんなガキで変わるような世界なんかダメだろ。
生きるか死ぬかは金次第だ。
ま
ショートストーリー「秘密」
俺には秘密がある。
いや、別に隠しているわけじゃないが、この事は誰にも言えない、言ってはいけないようなそんな雰囲気を醸し出している出来事。いや、もはや雰囲気などではない、絶対に言ってはいけない。言えない、口が裂けても、死んでも、生まれ変わっても、絶対に言えない。まぁ、そういうわけでは、必然的に隠しているのだからこれは秘密なのかもしれない。わからない、秘密の定義なんて誰も秘密にして教えてくれないから
ショートストーリー「イチゴの味」
キスをした時にイチゴの味がしたら、その人と結婚できる。
そんなウワサが少年の学校で流行っていた。
そのウワサで男子たちは「キス」という言葉に鼻息を荒くし、女子たちは「結婚」という言葉に心を踊らせていた。
少年もまた他の男子と同じく「キス」という言葉に興奮し、母親に買い物ついでに苺を買ってもらっては、隠れて密かに苺に唇を当ててどんな味か確かめていた。
ある日、少年は二つ隣のクラスの少女に告白され
ショートストーリー「n氏の生活」
夢見るn氏は真面目に勉強もして、少しは名の知れた会社に就職した。
別段裕福ではないものの、食べることには困ることなく一応何不自由ない生活を送っていた。
朝6時に起きて、会社に行って、日が暮れる頃に仕事を切り上げて帰宅し、夕飯を食べて、寝て、朝6時に起きる。また会社に行って、日が暮れる頃に仕事を切り上げ帰宅し、夕飯を食べて、寝て、朝6時に起きて、会社に行って、日が暮れる頃に帰宅して、夕飯を食べて、
ショートストーリー 「恋するふたり」
恋を始めた少年はある夜、薔薇を買った。
しかし、告白などしたことなかった少年は気恥ずかしくて、想いを寄せるあの娘に渡すことができなかった。
そこで少年は買った薔薇の写真を撮り、SNSに投稿することにした。
もしその投稿があの娘の目に止まり、「いいね」をしてくれたなら、少年はあの娘に薔薇を渡し告白をしようと決心して眠りについた。
少年が眠っている頃、あの娘はと言うと少年より4つも年上の青年の腕の中
ショートストーリー 「或る夢の人」
ある冬の夜、青年が眠りにつくとリリーという女性と出会った。
根が暗い青年とは違い、リリーはよく笑う人で度々青年の根暗さをからかっては笑った。
本当によく笑うものだから、はじめは少し不機嫌な態度を見せていた青年だったが、いつしかおどけてみせるようになり、リリーを笑わせるのが楽しくて仕方なくなっていた。
そんなある時、身に覚えの無い見知った子ども部屋のベッドの上でリリーと2人きり。
青年は部屋の明か