とげ
ひとにはきっとトラウマワードというものがあると思っている。多かれ少なかれ、呪いのようなもので、こころにずっと刺さったままの棘のような言葉である。
発した本人は、大して悪気もなく、深く考えているわけでもなく、まさか自分の発言でそこまで傷ついているなんて、と、気がつかないこともあるのだろう。わたしも発信者であり受信者でもあるから、自分だけが一方的に傷ついている立場と決めつけることは危険であると思っている。
ともあれ
そうした棘を抜くのは容易ではない。棘をしっかりと掴んで力を込めて、スポッと引っこ抜けたらよいのだろうが、具体的なイメージとしては、ゆっくり時間をかけて、棘の周囲をほぐしてゆく感覚がよいと思う。そうして周りから押し上げて、棘をすっぼりとまるごと外へ逃がすような感じである。
ほぐすために必要なのは世界の優しさであったり思いやりであったり、凝り固まった棘の周囲をじんわりと暖かくするものではないだろうか。ああ、こんな考え方もあるのか、とか、大変な思いもしたけど棘を抜く事で強くなれたなと。
そのように、ほんのわずかであっても、赤の他人であるからこそ、ちょっとだけほぐれるような詩を書けたらな、と思うのでありました。