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桜の波打ち際

桜吹雪に押し流されて 
波打ち際にたどりついた 

また相変わらず 
しずかな午前の部屋でひとり
よく晴れた四月下旬の街は
活発に人々や車の行き交う音がする
いつかと同じ空気を繰り返している
どこにもいけずにいる
必要とされたかったこと
なにがしたいかもしたくないのかも
生きていたいのかもさえよく
わからなくなりそうなこと

ベランダのサッシのぬくもりも
鳥の声や工事の音も
堂々と力強く泳いでいる

また相変わらず 
桜の花弁の波に押されて
波打ち際にたどりついた
ふつうに働いて生きる
ふつうに暮らしてゆく
どうしてこんなにつかれるのか

このまま流されてしまおうか
遠くへ消えてしまおうか…

のまれぬようにしがみつく