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夕暮れチューリップ

慣れてはいるけど
馴じめない星にいる

自動ドアを出たら
遠回りして
夕暮れチューリップ
咲く堤防へと向かう
彼ら本当はさ
植物に擬態した
色とりどりのアンテナ
向こう側の星にいる
君からの言葉を
受信するのだ

「ねえ、元気にしてる?」

メッセージを受け取った
僕は
赤い花にささやく

「まあまあだよ。 

いつかまた
きみに会える日が
くるかな?」
 
交信には時間がかかる、
とてもとても
長い時間がかかる。
だから答えは
まだわからないまま
ザーザーと
掠れた周波音だけが 
いつまでも
鼓膜を揺らし続けている。