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展示「京都新鋭選抜展」2024/12/21-2025/1/13@京都文化博物館(京都)
京都新鋭選抜展2025、無事に終了いたしました。ご高覧いただきました皆様、お力添えをいただいた皆様、ありがとうございます。
京都新鋭選抜展 -Kyoto Art for Tomorrow-
2024/12/21-2025/1/13 京都文化博物館(京都)
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個人的に尊敬している先輩方が出展しているのを見て、いつかわたしも…!と思っていました。今回、参加することができて、本当に嬉しかったです。目標の一つを達成できたかと思います。
これから、どういう風に制作を続けていこうか。今抱えてる中で、一番大きな悩みです。
もちろん金銭面などの心配もありますが、自分に、やり続けることができるのか。もうすぐ修了なので、出展する作品を制作していた時期は特によく、将来のことについて考えてしまうことが多かったように感じます。今もそうですが…。
自身の中にあるイメージが、「こういう作品をつくりたい」という気持ちが、なくなってしまったらどうしよう。
今回の作品は、今までとは少し雰囲気が違います。これは正直、ある日思いついたからつくりました。前回の個展期間中に、次はこういうのをやってみようって思ったことを覚えています。こうやって、今までとは少し違うものをつくってみる。これが尽きない限りはきっと、大丈夫かな、なんて思いました。つくる機会をいただけて、展示に参加させていただけて、本当に良かったです。
作品について。
これは、初夏の晴れた日に訪れた、海辺の山に建っている、廃展望台を下から見上げたものがモチーフになっています。鉄製の螺旋階段は経年と、海風によってボロボロでした。足をかけると、軋む。パラパラと崩れて、鉄の破片が落ちていきます。繁茂な植物が外側のコンクリートに絡みつき、差し込む光に目を奪われたことを覚えています。
今までは、植物なども画面に構成し、具象寄りの気持ち(あくまで気持ち!)で草稿を描いてきました。技法の特徴上、油彩のように全てを明白には描けませんが、逆にそれを利用して、「具象と抽象の間」を目指して制作をしてきました。
今回は、特に朽ちた鉄の危うさ、痛々しさ、尖った輪郭を抽出して、画面構成を試みました。螺旋階段のようにも見える、他の怪物のような、そんな何かにも見える……。鑑賞者が一目で、何か微妙にわからない絵にしたいと思いました。
鉄が錆びて、朽ちる姿は、より一層痛ましく、ボロボロの骨のよう。私の骨も、ボロボロのような、そんな感覚を持ち、「汚れた血」というあるバンドの曲名(映画のタイトルにもあるみたいです)がふと浮かびました。
去年の夏、私は今までの人生の中で一番と言っていいほど、こころがボロボロでした。でも、立ち止まっても、生きていけない。だから、バイトには行っていました。とてもつらかったです。地に足がつかない感覚、体内がぐちゃぐちゃした感じ。そんな時、深夜にゆっくりと歩きました。ただ、ただ、ゆっくりと歩くことを意識して、歩きました。ゆっくり。その時に聴いていたのが、「汚れた血」です。「俺はただ、熱病に侵されて歩く…」という歌詞のフレーズが脳裏に残って離れなかった。
錆びた鉄の階段は、ボロボロの骨みたいだ、私の体内も、こころもボロボロだ……。それを可視化するような感覚で制作しました。
このシリーズも展開していきたいと思いました。
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今回の経験を経て、次の制作の(というか個展の)イメージがくっきりと浮かびました。
今はまだ、画面構成や展示方法など、いろいろ模索中の身ですが、こういう風に、次はこれをやろう、と思えるのはものすごくありがたいことです。
改めて、参加できてよかった。ありがとうございました。