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【エッセイ】小学生なりにミスチルに共感した話。
シンガーソングライター、作詞家やってます、Rio Hosokawaです。
小学生の頃の話。
私にはヒカリちゃんという友達がいた。
めちゃくちゃ可愛くて、スタイル抜群で
漫画に出てくる主人公みたいな子だった。
保育園から一緒でとっても気が合った。
小学生高学年になると、女子というのは
だんだんアイドルや音楽に興味を持ち始めるようになる。
ヒカリちゃんはお兄ちゃんの影響もあってバンドの曲をよく聴いていた。
大人だと思った。
ある日彼女はMr.Childrenのアルバム
「It’s a wonderful world」を貸してくれた。
「大人が聞くやつだ。」
そんなことを思いながらその夜、CDプレイヤーにヘッドホンを繋いで畳に寝転んで聞いた。
彼女の言う通りだった。
私は畳に寝転んだまま、一度も起きずに全曲に浸った。
何がどう良かったか、当時の私は言葉にできなかったけど、
そもそも小学生が脱落せずに黙って一枚まるまる聴けるアルバムって、すごいと思う。
それからというもの、
私たちが口ずさむたくさんの曲の中に、
ミスチルも加わった。
ファスナーという曲の某有名ヒーローが出てくるサビを2人で大合唱してケラケラ笑ったりしていた。
(意味がわからないからケラケラ笑えてた)。
しばらくしてヒカリちゃんは
Mr.Children「くるみ/掌」のシングルを貸してくれた。
「it’s a wonderful world 」の経験から一年。
小学生の一年というのは、大人の一年とは大きく異なり、価値観の変化や心の成長がすざまじい。
私は塾に通い始めたり、
目立ちたがり屋が功を奏し児童会長になったり、
友達のことで悩んだり、
小さいけれど少し先の未来について考えることが増えていた。
CDプレイヤーにヘッドホンを繋いで
畳に寝転んで、くるみを流す。
優しい歌が流れた。
そして歌詞のひとつひとつが、
私の当時ある悩みに寄り添い始めた。
「昨日お母さんに優しくできなかったな」
「塾の勉強も難しくなってきて、今より頑張りたいけど怖いな」
「もう楽観的な児童じゃいられないんだ」
「これからどんどん環境が変わっていくんだ
あっという間に中学、高校と移り変わっていくんだ」
今思うと、なんて小さな悩みだと思う。
けれど、当時はこれが私の全てだった。
今以上を求めるけど、ここにいたい気持ち、変化が楽しみだけど不安に感じる気持ち。
ミスチル、会ったこともないのに私の気持ちを歌っている。
その日私は初めて、【音楽に共感する】という経験をした。
多分ミスチルはこんな瀬戸内海の端くれの児童にクリーンヒットしているとは夢にも思わないだろう。
これが、いわば私にとってのミスチル記念日となった。
その年私は誕生日にWALKMANを買ってもらった。
「いらないものを持って来てはいけない」
という小学校の鉄の掟を破ってまで、
くるみを聞きながら登校した。
児童会長でありながらだ。
これが政治家なら間違いなく政治生命を絶たれ、
現代であればXで吊し上げられ、
ボコボコのネットリンチに合い、
救いようのない謝罪会見の上に、
どこかの孤島で生涯身を潜めただろう。
(そもそも当時の家は因島だなのから、
はじめから島流しはあってないようなものだ。)
そんな危険を犯す価値が、くるみにはあった。
ミスチルってすげえ。
いつかミスチルに思いを伝えられる日が来たなら、私はこの話をしたい。
あんな小さい島にも届いていました、
当時の小さいけど、
その世界が全てだった自分の心の支えでしたと、お礼が言いたい。
あの日潮風を受けながら聞いた
くるみのことを思い出すたびに、
私の中の歯車が回るのであった。
今日はそんな、
小学生なりにミスチルに共感した話でした。
お後がよろしいようで。
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