孤独な幼少期
生まれた瞬間から私には父親がいなかった
4つ上と2つ上に姉がいるんだけど
母は、私を身ごもった後に離婚を決意し
シングルマザーの道を選んだらしい
幼少期の思い出はとにかく寂しかった
母と生活した記憶はほとんどない。
母はどこで何してか知らないが
何日も家に帰ってこないのはザラだった
後から聞いた話だけど
小学1年生だった姉が5歳の姉と3歳の私の身支度をし
保育園に送ってから学校へ行ってたらしい
徒歩圏内に祖父母宅があったから
1番上の姉が私たちの手をひき、
祖父母宅へご飯をもらいに行ったりもしていたらしい
しかし
私の祖父はものすごく変わった人で
私たち姉妹は毛嫌いされており
私たちが行くと母に文句の電話がくるから
祖父母宅には行くな、と母から怒られた
私たち姉妹は
母に怒られる、嫌われるようなことをすると
母はまた帰ってこなくなるんじゃないかと不安で
常に母の顔色を伺い生活していた
そんな生活が終わりをつげたのは
2番目の姉が小学生に上がった頃。
家賃の滞納で家を追い出され
祖父母宅へ引っ越すことになった
かろうじて飢えることはなくなったが
母が帰ってこないのは同じだった
祖父は酒癖が悪く
飲むと必ず私たち姉妹を罵倒した
母の悪口を淡々と聞かされ
言いつけを守らないと殴られた
いつかのクリスマス。
母が帰ってくることはなかったけど
玄関に私たち姉妹が欲しがっていたオモチャ、
祖父母へお酒が置かれていた
くそ貧乏だった私たちは
オモチャを買い与えられることなんてなかったから
一瞬すごく喜んだけど
でもオモチャよりも
やっぱり、母に帰って来て欲しかった
祖父母との生活も、2年ほどたった頃
祖母が急に私たち姉妹をつれ、病院へ向かった
理由も聞かされないまま到着した大きな病院
祖母について向かった先には
病院着を着てベットに横になる母
「お母さん!!....?」
久しぶりに母に会えた喜びもつかの間
母の横にはカゴの中でスヤスヤ眠る赤ちゃんがいた
知らない間に妊娠、出産をしていた母
急にお姉ちゃんになった私
生まれた赤ちゃんは女の子
妹ができてすごく嬉しかったが
他にも嬉しいことが起きた
妹が生まれた事で
母は祖父母宅へ帰ることになり
母と毎日一緒に居れるようになった
毎晩母と居れる幸せは言葉じゃ言い表せない
赤ちゃんが生まれた翌年
母はまた赤ちゃんを産んだ
5人目にして男の赤ちゃん
弟も、ものすごく可愛かった
妹と弟の父親とは未婚。
私たちが姉妹だけで住んでた家にも
来たりしていたから顔も知ってる“よっちゃん”
でもよっちゃんは893屋さんだから
籍は入れなかったらしい
弟を産んで以来
母が帰ってこなくなることは全くなくなった
それでも
朝起きたら母が居ないあの寂しさは忘れない
いま、いろんな理由で
夜の仕事をしてるお母さんは沢山いると思う
だけど1つだけ分かってほしい
夜中、朝方目が覚めた時。
母親の居ない寂しさは計り知れない
昼間一緒に居ないのと
夜一緒に居ないのとじゃ訳が違う
厳しい事もあるだろうが
できるだけ
子供が起きるであろうタイミングは
一緒に居てあげてほしい
夜、眠りに落ちる時。
絵本を読んで?とは言わない
携帯を見ながらでもいいから
隣に寝てほしい
夜中、悪夢にうなされて泣いた時
抱っこして?とは言わないから
大丈夫よ、居るよ、と声をかけてほしい
朝、目が覚めた時
品数の多い朝ごはんを作ってくれてなくてもいい
おはよう、と微笑みかけてほしい
人によっては当たり前のことかもしれない
でも子供が望んでることって
案外そんな
当たり前の日常だと思う