
チェロをはじめたはなし。
30歳にしてチェロをはじめた。
きっかけは、とある演奏会。
ピアノとチェロのアンサンブルを
10帖ほどのこじんまりとしたサロンで
聴かせていただく機会があった。
それも最前列。
チェリストとの距離はわずか2mほど。
その時のチェロの一音目で全身が震えた。
曲はエルガーの「愛の挨拶」
涙があふれそうになるのをこらえるので必死だった。
幸福感に満たされすぎると涙がでるのか、と。
チェロの音色、空気の振動、奏者の呼吸
すべてが全身を包んで、
脳がとろけにとろけ、自然と瞼がおちた。
あの楽器に触れたい、弾きたい。
それからチェロについて調べた。
・私の住んでいる地域(田舎)だと
そもそもチェロを教えてくれる教室が無い。
・仕事、家事、育児の合間に練習するには
自宅でしないと厳しいが
防音機能など無いアパート住まい。
・そもそも楽器(最低限のもので30万~)を
買う金銭的余裕があるわけでもない。
…無理だ。
そんな風に調べては諦め
でもやっぱり諦められない、と
何か案がないか調べてはまた諦め、を
何度も何度も繰り返し、ついに8月末。
自宅から車で片道1時間の教室に
体験レッスンを申し込んだ。申し込んでしまった。
演奏会があったのが3月末。
約5ヶ月の間チェロが頭から離れることはなく
最終的には我慢できず、衝動にかられてつい
申込みをしてしまったといった感じで。
そして、体験レッスンと本レッスンを
受けた今、私が感じるのは、
”衝動的に申込した過去の私、よくやった”
ということ。
人間生きていればなんとでもなる、ではなく、
なんとでもするのだ、と改めて実感した。
その環境に身を置いてしまいさえすれば。
”百聞は一見に如かず”
をこれほど身に染みて感じたことは
ないのではないか、ということばかりの
体験レッスンだった。
それはまた後日書こうかな。
何かはじめたいけれど調べれば調べるほど
現実的に無理だと感じる。
もしこれを読んでくださっている方が
そんな状況であるなら、無責任に言いたい。
とにかく飛び込んでみて。
