鹿児島の野ぼとけ12
一見すると恐ろしい。
そこにあるのは石造仁王像の胴体部分だけだからだ。
しかしよく見ると造りの細かさと、その筋骨隆々さに目がいく。
出来の良さが見えると、怖さがスッと消えてしまった。
近くにあった大きなお寺の門でにらみを利かせていた仁王像。
しかし廃仏毀釈で破壊され、今は地域の小さな社の片隅にいる。
下半身なんて手水鉢にされているほどだ。
ただ、新たな役割を与えられているだけでもいいのかもしれない。
胴体と脚部を組み合わせてほしいのが本音だが。これはこれで良い。
鹿児島らしい仏像の一体である。