どうせ死ぬなら
「僕が殺すまで元気でいてください」
それは、4月にサツマカワRPGの新ネタライブを観ていたときだった。彼はヘラヘラと笑いながら、現地と配信のすべての観客にそう言った。
心臓を掴まれるような、息の止まるような、そんな感覚がした。心地の良い息苦しさだった。
一年前から私が応援している、主にコントやギャグを披露しているピン芸人のサツマカワRPG。そんな彼のお笑いはときに暴力的で、恐怖と狂気を利用していることが多い。そして、「感情のないお笑いマシーンとして見られたい」という彼は、ファンに対しての感謝や気遣いを見せる場面はかなり貴重である。そんな貴重な場面にプラスして、彼特有の怖さが感じられるその言葉で、私はより一層ファンになってしまった。
私はそのことを思い出すたび、さらにもう一つ思い出すことがある。
お笑いで人を殺せるようになりたい。そう彼がインタビューで言っていたことだ。要は、観客が笑い死ぬほどのネタをしたいということだった。それは、正直こちらとしても望ましいことだとよく思う。きっと彼のネタを生で、間近で観たら、私は彼のお笑いで殺されるのだろう。
正直生で観るのは少し怖いと思っている。まだ十八歳という短い年月しか生きていないけれど、これまでこんなに好きになったことはない。まさか一年でここまで好きになるとは思わなかった。
しかし、そんな彼に殺されることを楽しみにしている私がいる。私は中学生の頃から希死念慮を抱えて生きていた。それが、彼のファンになってだいぶ軽くなり、死にたいと思うことは無くなった。でも、死にたくはないけれど、彼に殺されたいという気持ちは日に日に強まっていく。どうせいつか死ぬのだ。だったら彼に殺されたい。彼のお笑いで笑い死にたい。
だから、その日まで私は絶対に死ねない。生きなきゃいけない。そう思わせてくれる彼に、彼のお笑いに、私は感謝して今日も生きている。