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#一次創作小説

【短編百合小説】君に幸せを

「普通に生きるって、なんだろね」
 寂しそうに彼女は言った。
 駅から歩いて15分の小さいけれど、住みやすいアパートの一室。ルームシェアという名目で借りた私と彼女の家。同棲のための、家。
 その片隅に積まれたダンボールに思わず目を向けた。
「普通に生きて幸せになって欲しいの、なんて笑っちゃうよね。これが私の普通で幸せなんだって言っても、それは違うって。子ども作って、孫を見せてって。そんなの、そんな

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