武術的老子解説
原文
その雄を知りて、その雌を守れば、天下の谿と為す。
天下の谿を為すは、常に徳を離れず、嬰児に復帰す。
その白を知りて、その黒を守り、天下の式と為す。
天下の式と為すは、常に徳とたがわず、無極に復帰す。
その栄を知りて、その辱を守り、天下の谷と為す。
常の徳、足るにおよび、樸に復帰す。
樸、散じればすなわち器を為す。
聖人これを用い、すなわち官長を為す。
ゆえに大制、割れず。
解釈
雄の本質を知り、雌の本質を守れば、万事うまくいく。
雌雄の本質を知り、それを守る者は、常に徳を離れず、赤ん坊のように無邪気である。
陽を知り、その陰を守れは、天下の法則が働く。
天下の法則は、常に徳に反することはなく、止まることはない。
栄えることを知り、辱めを受けることも受け入れれば、様々なことをやり遂げることができる。
そういう人間は、常に徳を備え、朴訥である。
朴訥な人間は、他者の能力を生かす。
聖人は、こういう人材を登用し、大組織をまとめる。
コメント
右に行けば左、上に行けば下、捻じれればほどける。
別れればまた近づく。
ただただ無邪気に陰陽のダンスを繰り返せば、いつのまにか技となっている。
技の構成は、こういう単純なことで成り立っている。