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武術的老子解説

原文

徳の厚きを含むは、赤子に比す。
蜂蠆爬蛇は蟄せず、猛獣は拠らず、攫鳥は打たず。
骨、弱く、筋柔らかくして固く握る。
未だ牝牡の合を知らずして、すいたつ。
精の至りなり。
終日号しても嗄れず。
和の至りなり。
和を知るを常といい、常を知るを明という。
生を益するを祥といい、気を使う心を強という。
物、壮なれば則ち老い、これを不道という。
不道は、早く已む。

解釈

徳の厚い者は赤ちゃんといっしょだ。
ハチ、サソリ、トカゲ、ヘビは陰に隠れて狙ったりせず、、猛獣も近寄らず、猛鳥は襲い掛かったりしない。
骨は柔らかく、筋力は弱いが、拳は硬く握りしめている。
未だ雌雄の交合も知らないのに、力強く勃起する。
元気がみなぎっている。
一日中泣いても、声が嗄れることはない。
自然に逆らわないからだ。
自然に逆らわないことを、「平常心」と言い、平常心を知ることを「明らか」という。
自分が幸せに生きることを「めでたい」と言い、細かな気使ができることを「有能」と言う。
だれでも壮んな時はあるが、いずれは老いる。
壮んなことのみをひたすら求めるならば、それは「不道」という。
不道は長続きしない。

コメント

筋力の滞りが無いように、無駄な力を抜き、成り行きで蓄えられた力を拳から発する。
不自然な硬い動きから作為的に放たれた拳は強い力を発揮しない。


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