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武術的老子解説

原文

その安きは持ちやすく、そのいまだ兆さざるは謀りやすく、その脆さは溶けやすく、その微なるは散じやすし。
これ未有において為し、これ未乱において治むる。
合抱の木は、毫末に生ず。
九層の台は、塁土に起きる。
千里の行は、足下に始まる。
為す者はこれ敗れ、執る者はこれ失う。
これを以って聖人、無為、ゆえに無敗なり。
無執、ゆえに失くすものなし。
民の事に従うは、常に幾ばくか成ってこれ敗るる。
終に始まるがごとく慎めば、敗れる事無し。
これを以って聖人、不欲を欲し、得難きの貨を貴ばず。
不学を学び、衆人の過ぐる所に復す。
以って万物の自然を輔て、敢えて為さず。

解釈

安定しているものは持ちやすく、何かが起こる兆しが無い時は計画が立てやすく、脆いものは溶けやすく、細かなものは散らばりやすい。
事が起こる前に処理し、乱れないうちに治める。
一抱えもあるような大木は、小さな芽から生じる。
九階建ての建物は、しっかりとした土台の上に建つ。
千里の旅も足元から始まる。
作為をする者は失敗し、執着する者は失う。
これを見て聖人は、何もしないがゆえに無敗となる。
執着しないがゆえに失うものはない。
世間の人たちは、何事を為すにしても、あと少しのところで失敗する。
その少しのところで油断せず、始めたばかりの時と同じ心持で行えば失敗することはない。
これを見て聖人は、欲望を無くしたいと思い、金銀財宝などは貴ばない。
学ばないことを学び、世間の人が通り過ぎてしまうようなところに居る。
すべてのものが自然であることを助け、あえて何もしない。

コメント

何もしないということ。
何もしないので、執着しようがない。
執着するところがないので、自由に動ける。
執着が始まると、硬い世界が始まる。
そこは作為の世界。
執着の地獄となる。







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