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笑い飯・哲夫さんの『おかげさまのトライアングル』

お笑いコンビ・笑い飯の哲夫さんが拙著『ワラグル』を読んでくださり、なんとご自身のラジオ番組で紹介してくださりました。

昔からずっと見ていた笑い飯の哲夫さんに自著を読んでもらったんですよ。これほどありがたいことはないです。哲夫さん、本当にありがとうございました。

そのラジオの冒頭で、哲夫さんの著書『銀色の青』を、お笑いコンビAマッソの加納愛子さんが紹介してくれたと哲夫さんが語られていたんですよ。


で、その哲夫さんが僕の『ワラグル』を紹介してくださった。ならば今度は僕が、加納愛子さんの著書『イルカも泳ぐわい』を何かで紹介してくださいと哲夫さんがおっしゃられたんですよね。

そうすれば『おかげさまのトライアングル』が完成すると。

素晴らしい提案ですよね。ほんと哲夫さんの優しさが伝わってくるアイデアです。

加納さんや哲夫さんが紹介することに比べて、僕が加納さんの本を紹介してもなんの影響もないでしょうが、まあそこはすみません。加納さんご勘弁ください。

早速『イルカも泳ぐわい』の紹介です。

まずこの風変わりなタイトルが気になったんですが、冒頭でその説明をされています。

これはお笑いコンビ『高僧・野々村』さんの漫才のセリフなんですよ。

おおっ、高僧・野々村だとテンションが上がりました。僕も大好きなお笑いいコンビです。野々村さんは芸人を辞められて放送作家になられたんですが、僕の先輩の作家が「あんなに面白い人はいない」と絶賛してたんですよね。

一度野々村さんと一緒に仕事をしたいなと思っていたんですが、結局その願いは叶えられないまま、僕は放送作家を辞めてしまいました。

なんか好きなものが同じってだけで、親近感がわかないですか。高僧・野々村の漫才のフレーズをタイトルにするというこのセンスで、本にぎゅっと掴まれたような気分になりました。

そして全部読み終えたました。感想は、『とにかくすべてが面白い』ですね。

Aマッソのネタはよく見るし、めちゃくちゃ面白いんですが、エッセイも抜群でした。

加納さん独自の視点と表現のキレがとにかくいいんですよね。時間をかけて丁寧に書かれている文章だとは思うんですが、それを読み手に思わせないリズムがあるんです。

ほんと南米のミュージシャンみたいに、文に天性のリズム感があるのを感じます。

特に好きだったのが『拳銃!』というタイトルのエッセイです。

コントで使う小道具の拳銃を家に忘れてしまったという出だしからはじまるんですが、加納さんは新幹線に乗るために駅に向かいながら、次々忘れていたことを思い出す構成です。

心理面と行動の描写が絶妙なリズムを生んでいて、本に引き込まれそうになります。さらに話の落とし方も見事でした。

これ、エッセイの教科書に載るほどの名文じゃないでしょうか。これを読むだけでも本を購入する価値はあります。

加納愛子さんの『イルカも泳ぐわい』おすすめです。


そして加納さん→哲夫さん→僕→加納さんという『おかげさまのトライアングル』が完成しました。

貴重な機会をお与えいただき、哲夫さんと加納さん、誠にありがとうございました。

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浜口倫太郎 作家
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