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お告げ−1分で読める1分小説−

「それを作れば、彼がやってくる」
 アーサーが眠っていると、夢の中で声が聞こえてきた。
「縦が105メートル、横が68メートルの長方形……」
 そこでアーサーは目が覚めた。

 会社に行き、その不思議な夢の内容を同僚のオリヴァーに話した。
 オリヴァーが驚いた。
「おい、そりゃ映画の『フィールドオブドリームス』と一緒じゃないか」
 オリヴァーが説明する。

 突然アーサーと同じお告げを聞いた男が野球場を作ると、今は亡き名選手達が次々と姿をあらわし、試合を行うという映画だった。
「ここはイギリスだ。そして縦が105メートル、横が68メートルといえば……」

 アーサーが声を上げた。
「サッカー場だ」
「そうだ。サッカーの本場、イギリス版のフィールドオブドリームスだ」
 アーサーは仕事を辞め、貯金をはたいてサッカー場を作ることにした。
 オリヴァーの応援もあって、ついにサッカー場は完成した。

 その夜アーサーが寝ていると、急に外が明るくなった。
 あわてて家から出ると、宇宙船が上空から降り、サッカー場に着陸した。

 そこから宇宙人があらわれた。
「やあ、ありがとう。我々の宇宙船の着陸場を作ってくれて」
「宇宙船の着陸場……? サッカー場じゃないんですか?」
「なんだいそれは?」

「もしかして宇宙船のサイズは、縦が105メートル、横が68メートルの長方形ですか?」
 宇宙人がにこりとうなずいた。

「そう、ピッタリそのサイズだ」


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浜口倫太郎 作家
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