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dorobe56
身長−1分で読める1分小説−
「ジン、おまえ小せえなあ」
マサシがジンをからかうと、「うるさい」とジンがいらだった。
二人は小学生だが、マサシはすでに170センチ以上あった。地元のバスケットクラブで、エースとして活躍している。
一方ジンは背が低く、背の順番では一番前だった。
絶対にマサシを見下ろす。小せえなあとあいつにいってやる……。
それがジンの目標となった。
まずは背を伸ばすための努力をした。
朝食を必ずとり、牛乳を毎日飲んだ。
骨は縦方向の負荷を与えてから、睡眠で休んで成長する。だから立っている時間を増やした。学校の授業中でも立っていた。先生に怒られても無視した。
身長と足の大きさは比例する。足を大きくすれば、身長も大きくなる。
そこでジンは靴を履かなかった。靴で足の成長をさまたげたくない。足の裏は血だらけになったが、必死に我慢した。身長を伸ばすことに人生のすべてを捧げた。
けれどマサシはそれからもぐんぐん身長が伸び、ジンは低いままだった。
そして大人になって、ジンの身長は完全に止まった。
終わった……。
ジンは絶望しかけたが、彼はあきらめが悪かった。
十年後、マサシに電話がかかってきた。ジンからだ。
「おうマサシ、オレ今どこにいると思う」
「どこだよ」
「宇宙だよ。宇宙、オレ宇宙飛行士になって、今おまえの真上を通過中なんだ」
ジンは長年の夢を叶えるように、青い地球を見下ろしていった。
「マサシ、おまえ小せえな」
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