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[3] 大学院を休学して実家の八百屋を手伝うことにした建築学生の散文
どうも、大学院を休学して八百屋を手伝うことにした建築学生です。
このnoteは、僕の1年間を「面白がってもらう」ために書き記しています。
とうとう、4月になりました。
八百屋がある高知県土佐町周辺は、視界から山が消えることのない地域です。
どこを見ても桜が咲いていて、大分市にいた頃よりも多めに春を実感しています。
前回の記事でもお話ししたように、八百屋としての生活が始まりました。
僕は今、お店と一緒になっているおばあちゃんの家で寝泊まりをし、
朝は、早い日には5時に起き働いて
昼は、おばあちゃんとご飯を食べて
夜は、八百屋業以外のやるべきことを少しづつ、こなしています。
先日、夕食後におばあちゃんを除く家族3人で、ミーティングを行いました。
20時に始まった話し合いは、0時頃まで続きました。
今回のnoteで話すのは、
○ミーティングの中で、最も印象的だった部分
○ミーティング全体を通し、感じた印象と反省 の2点です。
●ミーティングの中で、最も印象的だった部分
それは上村青果の仕入れを担当し始めて3.4年になる父が話す、
「八百屋の不安定」についての話でした。
八百屋が青果を仕入れて販売するまでに、おおまかには
A)生産者さんが青果を生産する
↓
B)卸売り市場に青果が並べられる
↓
C)小売、仲卸などの買い手が競りを行い、青果を購入する
↓
D)店頭販売、小売業者に青果を卸す
以上のような、流れがあります。
そしてこの流れには
A)生産者さんが青果を生産する
・不作による価値の高騰
・豊作による価値の急落
B)卸売り市場に青果が並べられる
・一部の人しか知らない青果情報の存在
・先取りによる優良品の減少
C)小売、仲卸などの買い手が競りを行い、青果を購入する
・競りそのものの難しさ
D)店頭販売、小売業者に青果を卸す
・売れ残り
・生鮮食品の腐りやすさ
などの不安定が存在する、という話でした。
この話を聞いた僕は、
当たり前のことなんじゃないのか、
生鮮食品を扱う以上、魚屋も、肉屋も、林業も
一次産業と深く関わる事業者ならば、そういう不安定は必然だろう
と返しました。
それを受けた父が言うのは、
八百屋が不安定を乗り越える労力と報酬がどう考えても見合わない
端的に言うと「こんな商売はやってらんない」
のようなことでした。
これを聞くと、
考えが甘いんじゃないか
と思う方もいるとは思いますが、僕はそれよりも次のようなことを考えました。
僕には、就労経験がありません。
また、養っていくべき家族や社員もいません。
だから僕には、「労力に対する報酬の重要性」という視点が、実感が
欠落しているんだと。
自身が将来、その中に入るであろう建築業界におけるブラック企業の存在や
インターン/アルバイトの過剰労働などの話題で、
一般常識的な「労力に対する報酬の重要性」は理解していたかもしれません。
ですが、等身大の労力を経た視点と生活が左右されるという実感が
やはり完全に欠落していました。
そして、
それに紐づく父のプレッシャー、孤独感も想像できていませんでした。
安易な設計提案で使われる美辞麗句のコンセプトを避けるべきだと
理解っているつもりですし、提案する時はそこを避けるよう心掛けてきました。
しかし、避けた先にある課題にまでは意識が届いていませんでした。
つまり、
休学した建築学生がこの時代に地方の八百屋で魅力を発信するという
独自性のあるコンセプトを掴んだつもりでいたが、そのコンセプトには
「労力に対する報酬の重要性」にまつわる視点と実感が欠落していたため、
設計がまとまらない
と言えるのかもしれません。
4時間のミーティングで現実にぶつかる一方、両親が
新鮮で瑞々しい果物、野菜との出会いや発見
その青果を、お客さんに紹介する楽しさ
購入したお客さんから返ってくる「美味しかった」の声
といった八百屋の魅力を全く感知していないわけでは無いことも知りました。
魅力があるのはわかってる
でも、このまま続けていっても自分たちは生活できない
この隔たりにいい感じの橋を架けるべく、僕は1年間を使うんだろうと思います。
梁では届かないような気がするので、橋にしました。
思ったよりも長くなったので、今回のnoteはここまでにしたいと思います。
次回は、ミーティング全体を通して感じた印象と反省について書く予定です。
ここまで、読み進めていただきありがとうございました。
今後も「大学院を休学して実家の八百屋を手伝うことにした建築学生の散文」は
不定期で八百屋の状況や筆者の心情を更新していきます。
それではまた、次の散文で。
(2022/03/30)
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