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『最高のおとも』(#ショートショート#短編小説)

むかしむかし、大福くんとみたらし団子ちゃんが仲良く暮らしていました。
大福くんは口下手だけど、どっしりあんこで、優しくみたらし団子ちゃんに話しかけました。
みたらし団子ちゃんはお転婆だけど、とろーり香ばしいみつでおしゃれして、いつもニコニコ笑ってました。
ある日、大福くんがいいました。
「俺らにはやっぱりお茶だよな」
和菓子のお供にはお茶が一番。
わかりきっているからこその質問です。
「そうよね。私たちにはお茶よね」
みたらし団子ちゃんのそんな声が聞きたくて、大福くんは聞いたのです。
ですが、返ってきた言葉は
「でもね。ミルクもあうみたいよ」
は?ミルク?
大福くんはビックリしました。
「お子様にはお茶なんかよりいいみたいね」
お茶なんか?最高の組み合わせであるお茶に対してなんてことをいうんだ?
大福くんは頭にきて黒豆の眉毛がグイっと盛り上がりました。
次にビックリしたのはみたらし団子ちゃんです。
他の素敵な組み合わせを伝えただけなのに、なんて怖い顔をするのでしょう?
みたらし団子ちゃんは悲しくなって、串ごとプイっとそっぽをむきました。
―みたらし団子ちゃんってこんなにわからず屋だったかな―
―大福くんってこんなに怒りんぼだったかしら―
あんなに仲が良かった大福くんとみたらし団子ちゃんはそっぽを向きあったまま、かたくかたーくなってしまいましたとさ。
おしまい!

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