憧れのスキニーパンツ
私には、痩せたら着てみたいと思っている服があった。
それは、スキニーパンツ。
ムッチリとした太い脚に、あのパンツは似合わない。
長くて細い脚になったら、あのピッタリとしたパンツを履いて、かっこよくブーツで街を歩いてみたい。
そして時は流れ‥。
ランチタイムのカフェで働き始めた私は、昼ごはんを食べられず、疲れて夜ご飯もあまり食べられず、ちょっと不健康だけども、一気に、痩せた。
若い頃より10キロも痩せた!
胸も痩せちゃったので、理想の体型になったとは言い難いのだけど、まぁそれはおいといて、とにかくスリムになった。
そして私は念願の、スキニーパンツを買ってみた。
黒のスキニーパンツを、スラリと履いて。
黒のブーツをかっこよく履いて、街を悠々と、かっこよく歩く。
嬉しいよ。
念願の夢が、叶ったよ!
私はかっこよく歩いて、ひとりでショッピングを楽しむ。
お洋服をみて、帽子屋さんに寄る。
窓に映る、凛とした自分。
パリジェンヌのイメージで、街角でパンなどを買ってみちゃう。(しかしバゲットではなく、買ったのはメロンパン)
だけど‥。
なんか、ずっと履いてると、股下がキツくて、歩きにくいな‥。
太ももが生地と擦れて痛いし‥。
しかもウエストのあたりは、腰骨が当たって、たんだん痛くなってきた。
なんだかスキニーパンツは、履き心地が悪いと気づく。
私の体型に、スキニーパンツはむいてないのかも。
しかも家に帰ると娘は、「お母さんは骨格ナチュラルだから、そのパンツはあまり似合ってないよ。ゆったりしたパンツの方が、似合うんだよ」なんて言ってる。
骨格からして、スキニーパンツが向いてないの⁉︎
それ、痩せるとか、足が細くなったとか、もはや関係なくない⁉︎
‥そして、履けるようになったスキニーパンツは、すぐにタンスの肥やしとなった。
履けると言っても、履き心地が悪いものは、やっぱり履かなくなってしまう。
憧れは、憧れ。
ひとつの夢が叶い、そして叶った夢を捨て去った
私‥。
あ、そうだ!
今度は体にピッタリした、素敵な黒のロングワンピースを着てみたいなー!
着てみたい服は、まだまだいっぱいある。
夢はまだまだ、続くのだった。