オゾン節が炸裂です、映画【2重螺旋の恋人】
心地の良い吐き気を感じる映画。
オゾンの作品を観るたび、この感覚を喉の奥で覚える。
人間の欲深さや隠された狂気と限界を描く
''鬼才''フランソワ・オゾンの新作
【2重螺旋の恋人】
https://youtu.be/HxVxvCQEM24
物語は
謎の腹部の痛みに悩まされていた主人公・クロエは精神科医のもとを訪れる。
担当医ポールのカウンセリングを受けるクロエだが、ポールは特に何を話すわけでもなく、クロエの話をじっと聞いているばかり。
そんなポールに怒りを覚えながらも、自分のことを話していくうちに次第に腹部の痛みは消え、ポールとクロエは恋人同士になる。
しかし、ある日クロエは街中でポールと瓜二つの男性が、女性と一緒にいるのを見てしまう。クロエはポールに問い詰めるが、ポールは断固として否定。納得がいかないクロエは、その男性がいた場所に向かう。するとそこはポールの双子の兄・ルイがもつ精神科だった。
クロエはポールを知るためにルイの元に通い始めるが、次第にルイの危険な魅力に惹かれていき…
今回もまことに素晴らしい''オゾン節''が効いている作品だなぁ、と。
THE官能心理サスペンス、という感じで
「何が何だかわかんねえよオゾン!!!!」
と叫びたくなるぐらい、わけわかんなくて良かった。
でもオゾンってわけわからなさの中にも美しさだったり心の奥で感じる狂気だったりを観客に感じさせるから、凄いなぁ…となる。
元あった小説をオゾンなりに大胆にアレンジして出来た作品なので、
今までの彼の作品のストーリー性とは違う印象を受ける場面もあれば、
「あ、そうだよね。やっぱりオゾンぽいわな」
と納得するところもたくさんあって
単なる心理サスペンスとは違う、他とは比べられない唯一無二の作品になったんだなぁと観ていて感じました。
さっきからオゾン、オゾンばかり言っとりますが
オゾンは官能的で狂気的、人間の欲望をアーティスティックに描くという、彼らしい演出がしっかりあるけれど
2014年に公開された「彼は秘密の女ともだち」
みたいにクスっと笑えてハートウォーミングな映画もちゃんと撮れるひとだから
表現の引き出しが多い監督だと思うし、最近のフランス映画界の中で''鬼才''と呼ばれているのにもちゃんと万人に伝わる魅力があるからなのだと私は思います。
まあ正直言ってしまうと、今回の作品
1回観ただけじゃ、全て映画の内容を理解するのはとても難しいです。
複雑かつ巧妙で何よりブッとんでるので
数回観ないとなかなか自分の中で物語の答え合わせができない。
オゾン、あなた何考えてるの!って責め立てたくなってしまうぐらい、ぐるぐる目が回る。
でもきっと彼も、観客を惑わせたい気持ちがあってこの作品をつくったのだろうな、と感じる映画だったので、惑わされて正解なのだと思います。
彼自身も「正解はない」と言っていますし。
映画を撮るうえで
正解がない、
もやもやする、
この感覚を大切にしているんだと、感じる。
私は【17歳】という作品でオゾンの映画を好きになったので
「17歳」主演のマリーヌ・ヴァクトが、この「2重螺旋の恋人」でまたもオゾンとタッグを組んで再主演した、というのが個人的にとても嬉しかったです。
まだあどけなさが残っていた美少女のマリーヌが、今回バッサリのショートヘアで大人な女性に成長していて、もう、なんだか、寂しさと嬉しさで、親心。
物語の「双子と恋に落ちる」という設定自体ロマンスに溢れていてそそられますし、
劇中では最先端の海外アートを楽しめたり、と
最悪、内容を理解できなくとも目で十分に楽しめる映画だと思うので是非観てみてください。
見終わった後、どっと心に重みが乗っかる感覚を味わってみてくださいね。
オゾンオゾ〜〜ン
ではでは
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