【クリムト展】彼にとって女性は「芸術」だった、
彼にとって''女性''という生き物は
ひとつの芸術作品だったのだとおもう。
【クリムト展 ウィーンと日本1900】
先日、ほぼ滑り込みの状態でしたが
やっと、やっとゆけました。クリムト展。
世紀末のウィーンが誇る偉大な芸術家、
グスタフ・クリムト。
約30年ぶりとなる今回の開催は、
過去最多の20点もの作品、34メートルにも及ぶ巨大な壁画を展示。
没後100年である今年、
記念すべき展覧会として開催されています。
▷クリムト、あなたは女を解ってる
クリムトの画風は、
極めて官能的であり、ゴージャス。
女性を描くことを得意としたクリムトは
さまざまな女性の甘美で妖艶な姿を絵画のなかにおさめている。
特に、
女性の身体にあるあたたかさや、しなやかさ。
官能的で誘惑を秘めた瞳のうるみなどは、ほんとうに女性の身体をよく解っていなければ描けないものだ。
生涯独身であったが、10数人にも及ぶ子どもがいたクリムトは、「女性」をいかに熟知していたのか伺える。
クリムトの代表的な作品ともいえる
《ユディトⅠ》
鮮やかなゴールドに囲まれた旧約聖書外典
「ユディト記」に登場する未亡人・ユディト。
祖国のために敵である男の首をとったユディトの誇らしさと絶対的な強さを感じられる作品。
自らの身体をさらけだし、
堂々としているユディトの姿から
『女の武器』を利用したことがわかる。
それに、まんまと騙されて死へと導かれた男。
この絵は
女性がもたらす誘惑に対する警告を意味しているとも言われています。女ってこわいぞう
▷夢のなかで、現実をみせる
艶やかなゴールドに囲まれた人間や
色とりどりのカラフルな絵の具で彩られた空間は、まるで夢のなか。
しかし、クリムトは現実主義で
人間の『生』や別れ、絶望を絵に組み込んでいる。
それは、私たちも経験したことのある
夢の中で、それが夢だとわかっている状態。
まさに、これだとおもう。
まもなく息をひきとる
《死の床の老人》
など、人間が出会う生から死への瞬間を切り取っていたり
全長34メートルにもおよぶ
巨大壁画《ベートーヴェン・フリーズ》では
楽園を手にするまでの物語が壮大なスケールで描かれている。
その中には醜い生き物や美しいとは言いがたい女性の姿などもあり、
「人生は美しいものだけがあるわけではない」
とクリムト自身が絵を伝えて絵を通して現実を教えてくれるような感覚をおぼえる。
▷眼球に残る美しき、靄(もや)
クリムトが描く絵画のタッチはどれも柔らか。
モネをはじめとした抽象派に通ずるそのタッチは、女性を中心として描くクリムトにとってはとても重要なものだったのかもしれない。
どの絵を見ても、
ぼやりと音になっていないような音が聞こえてくる靄(もや)が、かかっている。
それらの靄は絵に湿度を産ませ、
人肌のようなぬくもりと脳裏を刺激するような官能さに変わってゆくのだとおもう。
この靄はモネに通ずるものがあるけれど風景画が多いのと、色合いの爽やかさのせいか
モネから人間くさい部分は感じないんですよね。
それに比べて、クリムトの靄からは
人の体臭を感じる。生っぽくて、肌の奥にある血のにおいさえも。
この人間くさい部分が
女性、人間を描く上で大きな魅力の要素になっているのかなと思いました。
クリムト、人間を知り尽くしてる。
あいにく、
本日7/10をもって終了の
【クリムト展】でしたが、没後100年という記念すべき展覧会に足を運べて幸せでした。
六本木の国立新美術館では
8/5まで【ウィーン・モダン クリムト、シーレ、世紀末への旅】でクリムト作品、日本にまだいるみたいなのでぜひ。
シーレみたい、わしもいきたい
クリムト、美しきエロスでした。拝
では
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