映画【マイ・ブックショップ】が訴える社会の理不尽さと希望の大切さ、
こんばんは
今日は3月9日から公開されている作品
【マイ・ブックショップ】(2017)
を観させていただいた。
英国ブッカー賞受賞作家のペネロピ・フィッツジェラルド原作小説を
「死ぬまでにしたい10のこと」イザベル・コイシェ監督が映画化した作品。
主演には劇場最新作
「メリー・ポピンズ リターンズ」の
エミリー・モーティマーを迎え、本への情熱と希望を胸にさまざまな理不尽さと闘う女性のつよさが描かれています。
物語は
1959年、イギリスの海辺にある小さな街に住む読書好きなフローレンス(エミリー・モーティマー)は、その街に無かった本屋を開業する。
しかし、街の有力者・ガマート夫人は起業したフローレンスを気に入らず彼女に対してあらゆる嫌がらせをしていきフローレンスの本屋は次第に経営が厳しくなっていく。
そんな時に街に住む読書好きの引きこもり老紳士・ブランディッシュだけはフローレンスの味方として支え…
この作品、
昔から今現在まで存在する
世間の理不尽さ
について、風刺的なメッセージを与えてくれます。
主人公フローレンスは好きな本に対して情熱や希望を持ち、本屋を開業したわけですが
フローレンスの住む街は非常に保守的で変化を嫌う。
ましてや、街のボス的な位置にいる富豪層の人間が街を好きなように動かし、自分の思い通りにならないことはあらゆる手を使って形にしようとする。
邪魔者は徹底的に排除する。
小さな街、小さなコミュニティーだからこそ
市民のなかで一番、経済的にも地位的にも力を持っている人間が街や身の周りを支配しようとするんですよね。
今でいう、ご近所のちょっと市の運営とかかじっちゃってるめんどくさいおばさんとか。
結婚して、子育てが一通り終わって、時間がある人がよくまとめたがりなイメージ。
市長とかに任せろや、みたいな。
そんな街一番の有力者の夫人にフローレンスは目をつけられて、
弁護士や代理人を通してさまざまな嫌がらせを受ける。
街の人も、フローレンスに優しいフリをして裏では陰口を言っていたり、彼女を裏切ったり。
もう、ほぼ質の悪いご近所トラブル。
新入りは気に入らない、若い芽は摘む!みたいな。
散々な目に遭う彼女ですが、味方はちゃんといて
店のお手伝いをしてくれる小学生のクリスティーンや
読書好きで知られる引きこもりおじいさんブランディッシュはフローレンスを陰ながら支えていたりする。
理不尽な環境でフローレンスは闘うわけですが
最後まで彼女は屈せず、全力を尽くすのです。
時には怒りや哀しみに襲われながらも、それでも彼女は希望を捨てず生きて行く。
そんな一人の女性の静かに燃やされている心の闘志と情熱が、この作品からは伝わってきます。
とにかく、この映画を観ていちばんに思ったことは
世の中の理不尽さは今も昔も変わらないということ。
その事実に悲しくもなったし、小さなことでも変えていけるように私はまっすぐに生きていきたいと強く思った。
大きな権力のそばについていれば、できることは多いし
どこか安心感はある。
大きな力からみたら、小さな力は弱いものに感じるし
邪魔なものだとも感じるだろう。
しかし、大きな力が嘘やわがままで出来上がったものだとしたら
それは悪になるとおもうし
小さな力でも芯が強く正直なものであれば
私は正義になるとおもう。
今はより、真っ向勝負すればするほど壁に追いやられて頭を使わなければ
自分の首を自分で締める結果に繋がってしまうことが多いけれど
信念と希望、正義が損をしないすこし変わった未来が訪れて欲しいと願う。
ラストは、救われるような気持ちになりました。
劇中にはイギリスの小さな街のなかで生きる美しい自然や
50〜60年代の温かみがあるかわいらしい生活雑貨だったり
フローレンスが纏うグリーンを基調としたレトロでガーリーなファッションなど見所も満載!かわいいかわいい、キャスキッドソンいきたくなった。
あと、
フローレンスが引きこもりおじいさんブランディッシュへ贈った本「華氏451」は実際に、
フランスのヌーヴェルヴァーグを代表とする
名匠・フランソワ・トリュフォーが映画化した作品であり
この「マイ・ブックショップ」の冒頭ナレーションを担当した女優が「華氏451」の主演ジュリー・クリスティなのです!
すごい、気付かなかった…
このように監督の意向でトリュフォーへのリスペクトが込められていたりと細部まで繊細なメッセージがある作品。
観たひとそれぞれ、受けとるメッセージは異なるとおもいますが
ぜひ、一度観て「理不尽」について考えて欲しいな、と感じる映画です。
現在関東では
・シネスイッチ銀座
・恵比寿ガーデンシネマ
にて上映中です!お時間ある際にはぜひ。
では、また書きます
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