目と目を合わせて奏でるハーモニー
娘が好きなこども番組をみていた。
テレビでは、歌うおねえさんとカラフルで可愛いキャラクターが踊っている。元気いっぱい響く明るい音楽を彩るのはおねえさんのギター。
「ほんちゃんね、ギターひきたいのよ」
娘のその一言から始まった。
だいぶ前に100円ショップで買ったおもちゃのギターは音は鳴らないし、すぐに壊れてしまっていた。
どうせ与えるならちゃんと音が鳴るものを、と思ったが
大きなギターは3歳の娘には扱いきれない。
そこで小さくて手軽なウクレレはどうだろうかとお店へ見にいくことにした。
ショッピングモールの楽器屋でウクレレを探す。
すると思っていた以上に高額なウクレレたちが壁一面に並んでいた。
簡単に買ってあげると言った自分を後悔しつつ、ひとつひとつじっくりとみる。
するとズラリと並ぶラインナップの下方に、ニコニコ笑うパイナップルが。
え?パイナップル?
わたしもそう思った。でもパイナップルなのだ。
マハロのウクレレ。
ポップに「こどもにオススメ」とかいてあった。
お値段も他のものに比べると即決できるくらいだったので、パイナップルをみつけてから1分くらいで購入した。
早く弾きたくてウズウズする娘をなだめながら帰り、家につくなりテレビにあわせてジャカジャカ演奏会。
するとものの数十分で違う遊びを始める。コードを押さえるのはまだまだ難しかったようだ。けれどわたしは、身近に楽器があるということに価値があると思う。気が向いたときにまた手にとってもらえればそれでいい。
そんな寂しげなナップルちゃん(ウクレレ)をきれいな音階に調え、簡単なコードだけ練習しはじめたのはわたし。
やりはじめたら止まらない。
気づいたら何曲も何曲もコードを検索しては弾き歌いをしていた。
毎日毎日少しずつ、楽器に触る。
ウクレレとは手軽の極みで、ほんとにちょっとした隙間時間に鼻歌といっしょに弾くことができる。
Gのコードが最初押さえられなかったけれど、何日かしたら突然できるようになった。そんな風に少しずつできるコードが増えることが嬉しくてたまらない。
新しいことができるようになるってしあわせ。
成長しつづけられるってしあわせだ。
そしてウクレレの素晴らしさを知った。
こどもの歌はコード進行がとてもわかりやすい。
いくつかのコードを合わせればわたしでも簡単に何曲も弾けるようになった。
そんな拙い音にあわせて、顔を見合わせて娘と歌を歌う。
アイコンタクトで歌い出しを合図したり、一生懸命に歌詞を思い出すへんてこな顔をまじまじとみることができる。
普段よく弾くピアノは横並びなのでまた違った味わいだ。
一曲、一曲と声を合わせて歌うたび、娘との距離が近づく。笑顔が増える。一緒に達成感を味わえる。
幸せなコミュニケーションをみつけることができた。
つづけることで、また自分の強みがひとつ増えるかもしれない。明るい親子関係をこれからも築けるかもしれない。
そして母が楽しんで手に取るこの楽器に、娘もまた興味がでて、これからもいっしょに音楽を愛してくれるかもしれない。
わたしたち親子にとって音のコミュニケーションの必要性はとても大きい。
今日もまた音楽の力を感じることができた。