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優性遺伝。

息子はアイドル好きである。
給料が入ると「ツタヤに行きたい」と言い、お目当てのアイドルが載っている雑誌やCD,DVDなんかを探しに行くのが恒例となっている。

始まりは中学生時代。ちょうどAKB48の全盛期であった。
総選挙やじゃんけん大会に世間が一喜一憂し、当時の主要メンバーのフルネームは誰もが答えられたんじゃないかという時代だった。
当時の担任と反りの合わなかった彼のストレスを癒してくれたのは、制服っぽい衣装に身を包み、お人形さんのように可愛らしかった彼女たちであったと言っても過言ではないだろう。

分厚い「プロ野球名鑑」のような、メンバーのプロフィールが網羅されている冊子が存在する。
興味のあるジャンルにはここぞとばかりに本気を注ぐ彼は、彼女たちのプロフールを次々と頭の中にインプットし、何期生であるとか研究生であるとかまで本当に事細かに覚えては、「主要メンバー以外はまったく同じ顔に見えてしまう」私に一生懸命レクチャーをしてくれたものである。

彼の推しメン遍歴を辿ってみる。
前田敦子さん。
峯岸みなみさん。
島崎遥香さん。
川栄李奈さん。
山本彩さん。
さや姉(山本さん)を推し出した頃から、彼女が当時リーダーを務めていた姉妹グループNBA48へと興味はシフトして行った。

さすがに握手会へ出向いたことはないものの、新曲がリリースされればCDを購入し、愛用のウォークマンへすぐに取り込む。勿論アルバムも購入する。自室でのリラックスタイムや通勤時間のお供は、ほとんど48グループの楽曲である。
歌うことが好きな彼とコロナ前はよくカラオケに行ったりしたものだが、とにかく48グループの曲を歌いまくっていた。
おかげで私はアルバム曲にも詳しくなった。
母親と交互に歌うことに窮屈さを感じ始めたからか、ある時から「ヒトカラをしてみたい」と言い始め、私とは別にアプリで会員登録をし、思う存分マイワールドを満喫してから帰って来る、なんてこともあった。
もう随分と昔の話をしているような感覚だ。
カラオケなんて丸2年以上連れて行けていない。

余談であるが、彼は乃木坂46をはじめとするライバルグループへは絶対に傾かなかった。夫がどんなに乃木坂のまいやんやいくちゃん(共に卒業済み)のすばらしさを説こうとも、世間的にも48→46な流れの時期でも、一切坂系アイドルには浮気をしなかった。
意外と一本気のあるヒトなのかもしれないと思ったのはこの頃からだ。

夢中になって応援していた推しメンのグループからの卒業は、アイドル好きとしては避けて通れない道であるだろう。
上記の推しメンたちは既に全員卒業をしていった。
そしてここからが独特だなぁと思うのであるが、卒業後は彼女たちの動向を一切追わなくなるのである。
ほとんどの方はまだ芸能界で活躍をされているというのに。

結婚をしたらしいよ
お子さんが生まれたらしいよ。
今度テレビに出るらしいよ。
彼女たちの情報を見つけて話題に出しても「ふーん」で終わってしまうのだ。
この気持ちは何なんだろう。
冷めただけ?
一本気どうした??

とはいうものの、48グループのことは「箱推し」だと言い、作品は変わらずチェックしている。
(さや姉の卒業以来、推しメンはどうやら作らないようにしているらしい)
卒業した彼女たちが在籍していた時代のポスターを未だに飾り、昔の楽曲もよく聴いている。
(多分最近は以前よりも楽曲のリリースが少なくなっているような印象)

息子はきっと「アイドルだった彼女たち」が好きなんだろうなと思う。
女優やソロアーティストではなく、可愛らしい衣装に身を包んでいた時代の彼女たちを今でも応援していたいのだろう。
そして、律儀な性格故かどうかは知らないけれど、その彼女たちの後輩の作品はしっかりと買う。グラビア雑誌も買う。自分の部屋でライブDVDが観られるようにと、ポータブルのプレイヤーまで買っていた。

同じことは贔屓にしている楽天イーグルスの選手たちにも言えることで。
既に引退や他チームへ移籍してしまった選手のグッズを、今でも大切に使っていたりする。
最近までは大好きだった内村賢介選手(2007年育成ドラ1~2012年まで楽天)プロデュースのキャップを被っていた。
背番号0ってどーんとプリントされていた。
0って今は小深田選手では・・・と言っても「うっちーのがいいから」と愛用を続けた。

さすがに傷んできたので、新しいのにしたら?と言うと、今度はこれまた大好きだった礒部公一選手(2005~2009まで楽天)のキャップを出してきた。今はこれを被って出かけるようになった。
ちなみに今の背番号8は辰己涼介選手だ。
きっとぱっと見界隈からは辰己選手のファンなんだろうなと思われているに違いない。
(いや、別に誰に何と思われようと構わないのだけど)


このヲタク気質とでも言うべきルーツは、絶対に私の父であると思っている。

学生時代から春日八郎さんの大ファンであった父は、大学ノートに歌詞を移し書いたり、新聞や雑誌の記事を丁寧にスクラップしていたり、大量のレコードやCDをコレクションしていたり、春日さんの生まれ故郷にあったという記念館へ足繁く通ったりしていた。
春日さんが亡くなってからも、ずっと彼の曲を聴き続けていた。
何なら同じ「春日」ってことでオードリーをえらく気に入り、生前はよく寝た番組も観ていたそうだ(関係無w)

その父の娘である私も、しっかりその血を色濃く受け継いだ。
若い頃B'zについて父と似たような同じ行動を取っていた私を見て、母は「やはり親子だな」と思ったそうだ。
以来30年以上にわたり、私は彼らの音楽に酔いしれ、夢中になり続けている。
生まれ故郷にはお邪魔出来ていないので、父にはまだまだ追い付いていないのだが。やはり父は偉大である。


話を戻そう。

息子の一連の行動は、もしかすると「自閉症くん特有のこだわり」という言葉で片付けてしまえるのかもしれない。
でも、私はそうは思えなくて。

一度好きになった人を、好きになった時代のまま、今でもそっと応援していること。
お気に入りのものを大切に長く使うこと。
それってなんかステキな事なんじゃないかと思ったりもする。

26歳にしては圧倒的に幼くて、世間ずれしているであろうことは否めないけど、どうかこのまま素直に「好きなものは好き」と言えるヒトでいて欲しいし、夢中になれる存在を持ち続けて欲しいと思うのである。
推しがいる人生って、すごくすごく楽しいから!
(ちなみに娘も推し活に勤しむヲタクに育ち、人生楽しんでおる)
推しがいるから何事も頑張れる!
推しの幸せはヲタクの幸せである!

結論。
ヲタク気質は優性遺伝する。


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#ヲタク気質







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