きょうの猫村さん
私の好きな漫画に「きょうの猫村さん」があります。
作者はほしよりこさんです。
この漫画は少々変わっていまして、普通の漫画は1ページになんコマも入ったものですが、猫村さんは猫村jphttps://nekomura.jp/というサイトにて、毎日1コマずつ更新されるというスタイルで日々展開されています。
物語は、猫村ねこ(♀・4歳)が、村田家政婦紹介所を訪れるところから始まります。猫は雇えないと断わられますが、猫村さんが何でもできるスペックの高い猫であることがわかり、猫村さんを雇います。
猫村さんは子猫だった頃、親猫とはぐれていたところを、ぼっちゃんに拾われ、ぼっちゃんの役に立てるようになりたいと、家政婦さんの見よう見まねで、すべてのことができるようになります。
が、ぼっちゃんの両親の離婚問題(ご主人が外に愛人を作った)が原因で、ぼっちゃんはお母さんに引き取られ、外国へ行ってしまいます。猫村さんは連れていけないということで、ご主人に引き取られます。大泣きしていると、ぼっちゃんのベッドに何かが置いてあり、開けるとピンクのエプロンが入っていました。「ねこちゃんへ いろいろいえのことしてくれてありがとう ぼうやより」と書かれていました。猫村さんは自立すべくエプロンを持ち、家を出ます。
懸命に働く猫村さんは、村田家政婦でも同僚たちの人気者になり、奥さんはとあるお宅へ行かないかと猫村さんへ打診します。
ご奉公先は犬神家。お金持ちのお家です。美人の奥様、大学教授のご主人、大学生のたかしぼっちゃん、中学生の尾仁子おじょう様と、犬神家もなにかと問題があります。
ご主人は大学教授で、研究しているテーマが不倫であったり、恋愛サークルの顧問を勤め、そこで生徒のスケ子さんと関係を持ったり、奥様はお姑さんであるおばあさんから何かといびられていたことで、見た目にコンプレックスを抱えており、整形、豊胸手術をし、現在も高価な化粧品や服、その他装飾品を買ったりエステに通ったりと浪費し、夫婦仲は決していいとは言えないようです。
たかしぼっちゃんはプライドが高く、いかにして一流会社で内定を取り、あとは卒業までのんびりしたいと、両親、世の中を、少々下に見ているところがあります。
尾仁子おじょう様は反抗期であり、不良グループとつるみ、おばあさんにだけ心を開き、愛犬であるステテコを可愛がり、猫村さんのお節介にも心を開きませんでした。
そんな尾仁子おじょう様は、猫村さんがおやつや食事を作って持っていくと、それまで頑なだった心も少しずつほぐれ、猫村さんのお料理は食べてくれるようになります。
やがて猫村さんは、おばあさんの部屋に、尾仁子おじょう様の愛犬ステテコがいることを知り、いつかステテコとお散歩がしたいと思うようになり、おばあさんとも仲良くなります。
もちろん猫村さんはお金を貯め、外国語を勉強し、いずれはぼっちゃんと会うのが目標ですから、お努めに励まなければならないのですが、猫村さんは少々お節介なところが玉に瑕で、犬神家で起こる問題にも色々と口を出したり、尾仁子おじょう様にもつい余計な口を出してしまって、それが奥様のカンに触り、怒られたりすることもあります。
そんな猫村さんの余暇の楽しみは、村田家政婦のみんなとサスペンスや刑事ドラマを、お菓子をつまみながら見ることです。「中居ぼたんさん」シリーズ、「熱血刑事」などが皆好きなようで、猫村さんはぼたんさんと若旦那がくっつくかどうかでやきもきしたり、熱血刑事は完結したようですが、やはりこれも好きなシリーズだったようです。
家事は万能で、とても明るく、家事の間は歌を歌いながら楽しく家事をこなす猫村さんですが、仕事ですから、悩みが全くないというわけにはいかないようで、奥様に怒られてショボンとなってしまうこともあります。
でもそこは猫村さんの猫柄と(人ではないので)普段の懸命な仕事ぶりのおかげで、スケ子さん(犬神のご主人とは別れ、小料理屋を開店)スケ子さんのお店で働く従業員のコマちゃんの温かい癒しの時間だったり、村田家政婦の奥さんが良き理解者になってくれ、悩みを聞いてもらったり、周囲の励ましのおかげで、猫村さんはひるまず働きます。
単行本は10巻まで出ており、私は単行本を待つ派でしたが、引っ越しの際に手放してしまったのをきっかけに、物語がどこまで進んでいるのか今もわかりません。でも最近は猫村jpも見るようになり、また単行本を集め直そうかと思います。
グッズもあり、東京駅のテレビ東京のショップに、少しですが猫村さんのグッズの取り扱いがあります。その他、不定期に、猫村さんのグッズが出たり、カレンダーも毎年出ているようです。(私はチコちゃんを買うようになったので、ここ数年買っていませんが)
何より、ほしよりこさんの絵柄(鉛筆描き)猫村さんのキャラ、猫村さんをとりまく人たちの心理描写も端折らず描いていたり、一日一コマ更新とはいえ、先が気になるように上手く読者の興味を引ける世界観づくりは流石だと思います。
いつか、いとしいぼっちゃんに会えるといいですね。
※猫村さんは、スピンオフ作品として「Casaの猫村さん」という作品もあります。Casaという雑誌の編集部に、猫村さんがお手伝いに行っているという設定で、そちらも面白いしほっこりします。こちらも是非。