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愛犬のおはなし
我が家では、2020年9月まで、夢路(ゆめじ・♀)という愛犬がいました。(享年12歳11ヶ月)
生まれつき、小ヘル・小ペコ・斜視・出べそという4つの障害がありましたが、私は夢路をどうしてもお迎えしたかったので、生まれて3ヶ月で我が家にやってきました。
犬種について言えば、狆(チン)です。よく中国犬と言われますが、れっきとした日本犬です(Wikipediaにも「ジャパニーズ・チン」と表記されていますよ)
狆の歴史は、実はかなり古く、犬公方・綱吉がとりわけ可愛がり、吉原では大名がお気に入りの花魁のご機嫌を取るために狆を差し出し、禿たちが花魁の狆を世話したり、綱吉公は狆には鯛を食べさせていたのに、庶民たちにはひどいものを食べさせる、そのくらい重宝された犬です。
そののち、ペリーが狆を連れて帰り、イギリスの女王も狆を「絹をまとった犬」と表現し、とても可愛がったとか。
性格は、物静かで穏やか。元気に走り回るようなことはあまりなく、静かにどこか居心地のいい場所でくつろいでいるようなことが多い犬です。夢路もそうでした。私や夫、娘にくっついているようなことはなく、マイペースに、その時の気分で、自分の居心地のいい場所でふんぞり返っているようなことが多い犬でした。
けど他の犬と同様、お散歩はやはり大好きで「さんぽ」という言葉を覚えていたのか、その3文字を聞くとピクっと起き、クルクル回り、ワンワン吠えて急かし、私や夫がリードを着けるのを早よ早よ!と言わんばかりに待って、外に出るといつもの物静かさが嘘のように、張り切って歩きだします。
好物はかまぼこ、ツナ缶(本当はダメなのですが)その他おやつなどでした。かまぼこは、私が毎朝、娘のお弁当を作っていたとき、お弁当にかまぼこを入れようとすると、台所にトコトコやってきて、お座りの体制で私をジっと見つめるので、少しばかり切れ端をあげると、喜んで食べていました。その時の様子は「ぱくぱく」ではなく「ガツガツ」という擬音がぴったりくるものでした(笑)
どこか人を喰ったような態度で、いつも私や夫を下に見ているような感じでした。わらわは高貴な犬じゃ、下僕ども(私と夫)わらわのエサ代稼いでこいよと言わんばかりの態度でいつも、人を鼻先でフンとあしらう、そんな感じの犬でしたが、そんな夢路が私は面白くてたまらなかったものです(笑)
でもじっくり見ると、どことなく気品もあり、高貴な雰囲気で、イギリスの女王や綱吉公など、権威ある方々が可愛がったのも頷けます。
とても賢く「おすわり」「お手」「待て」「伏せ」すべて完璧にでき、噛みぐせもすぐ直り、とても頭のいい犬だと感心したものです。トイレもすぐ覚えましたしね。
震災のとき、私はたまたま仕事が休みで、のん気に昼寝などしていましたが、割れた食器などより夢路が心配で、夢路の姿を必死で探したところ、夢路は悠然と、日当たりのいい場所でうつらうつらしておりました(笑)
夢路の困ったところは、掃除機の音、お風呂が嫌いなところでした。掃除機の音がするとパニックを起こし、辺りを走りまわって、音が止むまで落ち着きませんでした。
お風呂は「おふろ」の3文字を言うと、犬の表情でもはっきりわかる絶望の表情をし、犬用シャンプーで洗い流し、ドライヤーで乾かし拭いてやると、とたんに辺りを走り回り、気持ちが落ち着くまで走ります。よほど嫌いだったのでしょうね。
狆は目がギョロっとしているので、目の事故には気を付けなくてはならないのですが、子犬だったころ、右目を怪我しましたが、失明の危機は免れました。
極めつけは、娘が生まれて、退院して娘を連れて帰ってきた日のことです。私がトイレに行っている間、娘を寝かせている寝室に夢路がそっと入ってきて、娘のにおいをくんくん嗅ぎ「あんただれ?ごはんくれる人?」と言わんばかりに、初めて見る娘に興味津々でしたが、寝ていた娘の手がパシンと夢路に当たり、以後、それがトラウマになったようで、2、3日後に胃潰瘍になりました(笑)
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夢路はとても賢く、人懐っこく、泥棒が入ってきても、泥棒に尻尾を振るくらいの愛嬌を振りまくであろう犬で、夢路を買ったペットショップの店長さんにも「この子本当に性格いいな!」と言われるような賢い犬でした。
毛並みもとても美しく、本気のトリミングをさせたら、どんなにか美しくなるだろうと思うほど綺麗な毛並みでした。
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どこかお茶目で憎めない、我が家にとっては笑いであり、癒しであり、ペットではなく家族でした。娘には苦手意識があったようで、娘のことは避けていたようです(娘が2歳ぐらいのとき、夢路の上に乗ろうとして、夢路が奇声を発したことがありました)
2020年9月17日朝、やはり娘のお弁当の用意をしていたら、夢路がトコトコやってきて、もの欲しそうな目で私をジっと見つめるので、かまぼこの切れ端をあげても食べず、元気もなかったので、気にはなりましたが私は夫を送り出し、娘を幼稚園に連れていき、夢路の側にいました。
私はその後、寝落ちしてしまい、起きると、夢路が動かなくなっており、体も少し硬いような気がしていました。そのことを夫にLINEすると、帰るまでそのままにしておいてあげてと言うので、夢路の体を撫でながら、私は無意識に泣いていました。
もう夢路はこと切れていて、家族みんなで、夢路が虹の橋を渡ってしまったことを泣きました。12歳11ヶ月でした。9月23日生まれですので、あと6日で13歳になれたのに…
夫がペット葬儀社に連絡し、翌日早朝、夢路の亡骸は、ペット葬儀社に引き取られてゆきました。
翌月10月からお墓参りができるというので、ドライブがてら、夢路のお墓参りに行っています。(行くとオーナーさんがコーヒーを出してくれます)
ちょっと遠いところにお墓があるので、往復で5時間くらいかかります。夫は車の運転が大好きなので(車種はレクサス、車オタクです)私も娘もドライブが好きですし、また夢路に会いたい気持ちもあります。
夢路、いつでもまた、家族みんなの夢枕に遊びにきてね!
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