雨だよ、おばあちゃん
天上で特大のたらいをひっくり返したかのような雨が降った。
ほんの一瞬、自宅にまだ繋いである固定電話が鳴らないかと思う。
「雨は漏ってないかね?大丈夫?」
土砂降りになるといつもそこにかけてくる祖母はもういないというのに。
私は祖母の残した家に住んでいる。彼女が一人で暮らしていくことが覚束なくなり、いよいよ老人ホームに入るとなったとき、空き家にしておくのは不安だね、という話の流れで私が住まわせてもらうことになった。
当時、私は精神的にボロボロのひきこもり状態な上に、両親との不