勝ちにこだわるということ
大好きな漫画、ハイキュー!!について
※単行本の内容含みますので、アニメ派の方は要注意
長年ジャンプで連載し、昨年の完結も話題となったバレーボール漫画、ハイキュー。完結を知って、止まっていた漫画を全部読みました。
私が小学生の頃、正直男子バレーボールにはあまり良い印象は持っていなかった。スポーツの花形はサッカーか野球で、バレーボールは女子のもの、という認識が強かった。当時私の持っていた偏見かもしれないけれど。(当時女子バレーは上戸彩のアタックNo.1や木村沙織の人気もあり女子人気が非常に高かった)
その私の偏見を変えたのがこの漫画、「ハイキュー‼︎」だと思う。絵の綺麗さに加えてわかりやすいダメダメ主人公のサクセスストーリー、そして主人公はもちろんライバルチームにも嫌なキャラクターがいない。ライバルチームはそりゃ憎らしいよ。でも、
いつのまにか愛着の沸いた烏野に、簡単には勝たせてくれないライバルチーム、日向に立ちはだかる高い、高い壁。つい感情移入して「悔しい、苦しい」とも思う。
けれど私以上に苦しいはずの日向が、影山が、登場人物たちが「楽しい」と、「まだボールは落ちてない」と目を輝かせる。悔しさに奥歯を噛んだ次の瞬間には「あの人すごい、上手い」と学びしろを見つけている。
尊敬、畏怖の気持ちを全員が持っている。描かれていないだけでもしかしたらあったのかもしれない、彼らの行く手を阻むやっかみ、妬みも。けれど前だけ見る彼らの目には入らない。だから作中には描かれなかっただけかもしれない。
綺麗な作品だ、と思った。正直よくあるスポーツ漫画だと舐めていた。無名でしかも低身長の日向が最強のセッター影山と出会い、成長して順当に勝ち進んでいく。勝ちにこだわる姿勢、一生懸命は美しく、頑張った先には必ず勝利がある。まさに友情・努力・勝利のジャンプ漫画。稲荷崎のスローガンにあるように「思い出なんかいらん」、たった一校の勝利以外は無意味、無価値。それは昨日で、今日の自分はもう消化したもの。だから、主人公は勝つ。
努力は報われると、そう人々を勇気付ける漫画だと思っていたのだ。
日向が退場して尚、そう信じていた。
「今日 敗者の君たちよ 明日は何者になる?」
漫画を読んでいて喉が鳴るような感覚がしたのは初めてかもしれない。
負けるんだ、そうか、しかもこんな不本意に負ける。みんな負けるんだ。
誰もが恐れたウシワカも、全国何本指のスパイカーも、鉄壁も、コートの王様も、みんな負ける。
けれど、
挑む者だけに与えられる勝利と敗北、その先に見える景色はどんなだろうかと、久々に何かに挑んでみたくなった。
26歳の私にはこんな熱いバレーボールは出来ないし、今から全国一位を目指すのも無理がある、けれどわたしの中にはもう彼らがいて、「今日、何をする?」と問いかける。
今日、何をして、明日何になろうか、まだ長い人生、挑まないと負けることもできないよ。
まだボール落ちてないよ、と言われる前に走り出したい。
ハイキューはバレー漫画、もとい、全ての敗者のための漫画。ボールが落ちるまで、何回でもできるまでやれば良いんだ。
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