#MarryMeを訳してみたら
一緒に泣いたあの夜に
小さな声で笑い合った深夜のベットの上に
わたしは君を置いてきてしまった気がする。
君の体温はいつだってわたしより少し暖かくて
なかなか眠りにつけなかった。
そんな夜でさえ愛おしいと思うわたしはたぶん、
画面には、リアルタイムの渋谷スクラブンル交差点がうつっていた。
終電もとっくに過ぎて、私が覗いた時には傘をさした人が一人だけ踊るように空を仰いでいた。
傘は赤色の水玉模様だった。
「なんで、見てるの。それ」
「特に意味はないけど、落ち着くんだ。」
そう言って少し口角を上げると、君はベッドの上で背中を丸めた。ちっとも落ち着いているように見えない。
私が小さく笑うと、不思議そうに覗き込む。
「どうして泣いてるの?」
「え?」
びっくりして自分の頬に手を触れると、確かに冷たい道が出来ていた。
まんまるになってこちらを見ていたはずの目が揺れている、ぽたぽた落ちる大粒の涙に戸惑いを隠せず私もついに声を上げて泣いてしまった。
「あい、してるよ。」
「・・・愛、とかよく分からないよ。」
そう言いながらもぎゅっと握り締められた手を、二人の間にできた大きな水たまりを「あい」だと教えてあげるのはあと幾つかの春を越えてからにしようと思う。
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