作家になってみて読書の感じ方は変わるか?
商業デビューができましたので、一応プロの作家になりました。このさき、どのくらいお仕事を続けていけるかはわかりませんが、「一度商業出版した人」にはなることができました!
それで……たまに聞くじゃないですか。「好きなことを仕事にしてしまうとつらい」ってやつ。趣味が仕事になっちゃうとそれは趣味じゃなくなっちゃうから、しんどくなってしまうという。
私は、高校生くらいのときから自分の好きな本を読み始めて(読書デビューは遅め)そこから大人になるまで継続してずっと本は好きでした。ぜったい読まないジャンルとかもなくて(苦手ジャンルはあるけど)特にこだわりもなく、純文学もエンタメも好きです。
自分がエンタメ商業作家になったら、読書を楽しめなくなるのだろうか??
私の場合は、完全にNO! でした! 今でもめちゃくちゃ読書楽しい! 楽しめる! なんの問題もない!!! 頭のスイッチが完全に切り替わる!!! なんなら今までより楽しいかも!!!
あ〜この冒頭はたしかにめっちゃ引き込まれる! とか、ひぃ〜この文章やばい!! とか、自分のなかでどこがどう良いのか、どこが刺さるのか、どう好きなのかが今までより際立った気がします。
もしかしたら、今まで通り楽しめないほうがいいのかもしれない(プロとしては)とも思うんですよ。もっと学ぶ姿勢? で読んだほうがいいのかな、とも思います。売れてる小説は、要は教科書みたいなものですからね。
でも、今まで通り普通に楽しめてしまって、それどころか今までより読書量は増えていてどうなんだろう? と。個人的には、楽しく書けて楽しく読めるなんて、最高なんですけど……真剣味が足りないのかな、とちょっと心配にもなります。
「そういえば今まで通り楽しめちゃってます」という話を担当の編集者さんにしたところ「精神衛生上は良いと思いますよ」と言っていただき、あ、たしかに。と思えました。もしかしたら、私はまだプロとしての意識が足りていないのだろうな、とも思いますが、趣味が仕事になってしまってもとりあえず楽しいうちは楽しめればいいかな、と思っています。
……とか!!
書いておいて!!!
実は最近、読んでいてしんどい瞬間があったんです!!
ある作家さんの小説を読んでいたときでした。その方も医療関係のお仕事をやっていらして、その経験ならではの視点をもった作品をお書きになるんですね。どの作品もおもしろく、リアリティがあって、すばらしいのです。そのときに、え……私もここまで書けるようにならなきゃいけないの? ……無理なんですけど。と初めて「自分と比較する」という経験をしました。
ポロッと編集者さんにもらしたところ「いろんな書き方の方がいらっしゃいますよね」とサラッと言ってくださったのですぐに「そうだ。この人みたいに書けなくても、私らしく書けばいい。私なりの向き合い方がある」と思えましたが、もしかしたらこの気持ちをこじらせていったら、初めて小説を書くことが苦しくなるのかもしれない! と思いました。この人はこんなふうに書けるのに私は書けない。そう思いながら読むのは、つらいです。
今は、本当に一瞬だった比較を乗り越えて、また読書がめちゃくちゃ楽しいです。でも、今後読むのがつらくなっちゃったら嫌だな〜と思います。一番楽しい時間なのにな〜と。
まあ、そのときはそのときですね。そうなったら考えたいと思います!笑!