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マラドーナの魅力を再発見!ネットで見られる映像作品【ドキュメンタリー編3選】

みなさん、こんにちは。ヨコハマ・フットボール映画祭note公式マガジン第45回を担当します、スタッフの加藤です。

華麗なプレーで多くのサッカーファンを魅了し、今なお愛されている神の子 ディエゴ・マラドーナ。2020年に彼がこの世を去った際は世界中が悲しみに包まれ、日本でも彼が出場した名勝負の再放送や、特集番組が組まれました。実際、リアルタイムでプレーを見たことがない私も、この訃報を聞いてからマラドーナのプレーを自然と見たくなることが増えたなと感じています。

ドキュメンタリーから語り種かたりぐさの一つであるゴールがタイトルになっているフィクションに至るまで、これまで多くのマラドーナに関する映像作品が作られてきました。また、昨年にも『La Muerte De Dios』(神の死)という彼のスキャンダラスな人生を追ったドキュメンタリーが製作されています。

ヨコハマ・フットボール映画祭公式noteマガジンでは、マラドーナにまつわる映像作品の中で、映像配信サービスを通して日本でも見ることができる作品を2回に分けて皆さんに紹介します!
前編となる今回は、ドキュメンタリー作品をピックアップしました。

マラドーナ(原題: Maradona by Kusturica)

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世界三大映画祭(カンヌ、ベルリン、ヴェネツィア)全てで受賞経験を持つ巨匠 エミール・クストリッツァが、2005年〜2007年の3年に渡りマラドーナを取材したドキュメンタリーです。日本初公開時のキャッチコピーに「神の子と呼ばれた男は、1人の人間だった」と書かれているように、まさに彼の人となりを描いています。
母国に栄光をもたらした1986年ワールドカップをはじめ、94年ワールドカップでのドーピングによる大会追放といったプレーヤーとしての栄光と挫折の裏側に迫ります。それだけではなく、チェ・ゲバラやフィデル・カストロなどを敬愛する彼の政治思想であったり、「娘の成長を見逃した俺はなんて馬鹿なんだろう」と後悔を口にする1人の父親としての姿などマラドーナの本音をクストリッツァが見事に引き出しているのです。

ちなみこの作品が公開された時、地元・静岡の映画館では上映していなかったこともあり、15歳の私は当時渋谷にあったシアターN 渋谷まで観に行きました。
その時の私はマラドーナという人物のことについては過去のW杯やアルゼンチン代表監督としての映像や、お騒がせセレブのような形で取り上げられたニュースを見たことがあった程度で、その人物像については詳しくは知りませんでした。そんな私が東京に出てまでこの作品を観たいと思ったのには、神格化されている世紀のスーパースターがどんな人物なのかを知りたいという想いがあったからです。

無邪気に笑ったり、反米デモで不平等さに対して声を上げる姿や、インタビューの中で見せた涙からマラドーナの人間臭さを、そして劇中に登場する『La Mano De Dios』(神の手)、『La Vida Tombola』(人生はギャンブル)といった彼をテーマにした楽曲や、マラドーナ教と呼ばれる宗教の存在から多くの人を動かすカリスマ性を知ることができました。
こうした要素を感じ取った私は、劇場を出る時にはサッカー選手としてではなく、1人の人間としてディエゴ・マラドーナが大好きになっていた思い入れのある作品です。

マラドーナ・イン・メキシコ(原題:Maradona in Mexico)

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この作品はメキシコ2部のドラドス・デ・シナロアの監督を務めたマラドーナと、彼に率いられたドラドスの選手たちを追った全7回のドキュメンタリーシリーズです。
シーズン途中にマラドーナが監督に就任すると、最下位だったチームは次第に調子を上げて昇格プレーオフを勝ち進んでいき、念願の1部昇格が遂に目の前に。しかし、マラドーナの直情的な性格が災し相手監督やレフェリーと一悶着を起こして退席処分を下されたり、健康問題により指揮を執れないなど様々なトラブルが降りかかります。
そんな彼に対しても全幅の信頼を置く選手たちと、共に戦う”監督”マラドーナの姿は他のドキュメンタリー作品では見られないものなので、彼の違った一面が見られる作品になっています。

多くの方は恐らく監督としてのマラドーナはアルゼンチン代表を率いた2010年ワールドカップの印象が強いかもしれません。私はあの時のドイツとの準々決勝でチームとして上手く機能せずあっけなく敗退した姿を見ると、「監督としての引き出しは少し乏しいのでは?」という印象を持っていました。
しかし本作を通してチームを鼓舞したり、選手と喜怒哀楽を共にして選手たちの心をガッチリと掴む彼の人心掌握力を目の当たりにしたことで、モチベーターとしての能力を感じずにはいられませんでした。
「ここにいるのは真の男達だ。これからも勝ち続ける野郎共だ!」
「自分の足を信じろ」
etc…
マラドーナが練習やドレッシングルームで選手に贈るこんな言葉を「もし自分が言われたら…」と思って見てみると、作品の見え方も大きく変わってくるかもしれません。

ディエゴ・マラドーナ 二つの顔(原題:Diego Maradona)

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https://www.video.unext.jp/title/SID0056957

『AMY エイミー』(2015)でアカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞したアシフ・カパディアが監督を務めた本作は、サッカー関係者の多くが「マラドーナのドキュメンタリーで一番凄かった」と絶賛しており、彼にまつわる映像作品の中でも最高傑作と言っても過言ではないでしょう。

母国をワールドカップ優勝に導き、クラブにも初のリーグタイトルをもたらすなど名実ともに世界一のサッカー選手として円熟期を迎えていたSSCナポリ時代のマラドーナ。しかしピッチでの活躍とは裏腹に、プライベートではコカインの使用やマフィアとの交際、隠し子問題などトラブルも絶えませんでした。本作では試合や当時のインタビューだけではなく、秘蔵映像と新録のインタビューを通してマラドーナの光と影を描いています。

この作品は入団会見とセレモニーが開催されるスタディオ・サンパオロに向かうマラドーナが乗る車の中の映像から始まるのですが、私はここで既に作品の世界に引き込まれます。それから展開されるマラドーナのプレーに魅了され、今まで見聞きしたことがなかった秘蔵映像とエピソードに衝撃を受け…2時間があっという間に感じられる作品でした。
また『マラドーナ』で彼の人となりを知ったように、本作ではスーパースターとして崇拝され、常に勝利を求められていたマラドーナがどんなプレッシャーに晒されていたのかという部分を感じることができた気がします。

番外編

「マラドーナによるマラドーナのための大会」と呼ばれている1986年ワールドカップ。FIFA公式YouTubeチャンネル FIFA TVでは大会公式記録映画をはじめ、神の手と5人抜きの伝説のゴールが生まれた準々決勝 イングランド戦や、最後まで食い下がる西ドイツを振り切り優勝を掴んだ決勝戦のフルマッチなどの無料配信も行われています。
今回紹介した作品ではイングランド戦のゴールに切り込むことがあるのですが、このワールドカップ全体の話はあまり多くは触れられていません。当時リアルタイムで試合を観ていた方はもちろん、フルマッチを観たことがない方もドキュメンタリーをきっかけに、タイムスリップしてマラドーナのプレーや彼が牽引したアルゼンチン代表がどんなチームだったのかを90分を通して振り返ってみてはいかがでしょうか?

ワールドカップで優勝し、トロフィーを掲げるマラドーナ(『ディエゴ・マラドーナ 二つの顔』より)

後編では、Amazonプライム・ビデオのオリジナル作品として配信中のマラドーナの人生を題材にしたドラマシリーズなどを紹介します!
次回もお楽しみに!

最後までお読みいただきありがとうございました!
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