カナダで保育: 目的をはっきりさせる
他の保育士や保護者の方達から相談される事の一つに「子どもが言うことを聞かない」というものがあります。
これは要約してこう言っているんだと思うのですが、これってまずはどんな事を要求しているのか、何を聞いて欲しいのかによると思うんです。
日本語でも英語でも「きく」と一言で言っても違う意味の単語がいくつかあります。
聞く
聴く
効く
利く
Listen
Hear
Ask
などその内容によって使う単語も違います。
友達やパートナーに対して「話をきいて!」という時だって意図している事はそれぞれです。
ただただ聞いて欲しいだけなのか、何かアドバイスを言って欲しいのか。
それによって、特に男女間で意見の食い違いが起こるのは有名ですよね(笑)
なので、話を子どもに戻すと、何かをきいて欲しいのは「何をして欲しい」かの目的によって変えることが出来ると思うんです。
例えば使ったおもちゃを片付けるという事を子どもに伝えたとして、まぁ高確率でしてくれないわけです。
なのでここの目的が
「部屋を綺麗にすること」
なのか
「子どもに片付ける習慣を付けること」
なのかによって変わってきます。
前者なら単純に使えるおもちゃの数を少なくするとか遊べる場所を限定するとか物理的な環境作りで結構解決します。
でも後者なら環境作りもその一環になりますが、練習が必要なわけです。
だからどういう練習のステップを設定するかが大切になってきます。
いきなり最初から部屋中にばら撒かれたおもちゃを1人で全部片付けるというのはかなりハードルが高いので、やはり環境的に範囲や数を狭めて一緒に始めることからスタートするのが良いと思います。
そしてあくまで「最終的に」自分で部屋を片付ける事が目的なので、最初のうちは全部できなくても、練習が現状の目的なので、オッケーなわけです。
「子どもが言うことをきく」というのはあくまで本来の目標に沿った言動をして欲しいと言う目的の為なので、そこを明確にする事でメッセージ性もクリアになるし、こちら側の期待度も高くならないのでイライラする事も減ります。
私たちのクラスでも、今お片付けの習慣を身に付けて貰おうと練習中です。
正直保育士だけで片付けた方が早い、と思う時もあります。
でも、子ども達に「自分が使ったものの責任を持つ」「おもちゃを大切に使う」という事を知ってほしい。
その為には、例え時間がかかっても、本当に数個拾って棚に戻しただけでもその目標に近づく一歩なわけです。
決して全てを完璧に片付ける事を期待しているわけではなく、あくまで「使ったものを戻す」という習慣をつけて、最終的な目標達成へのステップなのです。
そう保育士間で話し合ってから、私たちも子ども達へさりげないリマインダーの声掛けをして、一つでも戻す事が出来ればOKとしています。
そうする事で、子ども達も「全部片づけなくてはいけない」という高いハードルに立ち向かうわけではなく「ほんの少しでも戻せばいい」という感じでとりあえずやるようになったように感じています。
それが癖づいていく事で、本人たちも「頑張って」片づけをしなくてもよくなるので、お互いウィンウィンですよね!
一見長い道のりですが、逆に長期的に考えると絶対にこの方が早いです。