懐かれる保育士とは
今までの保育人生の中で、何十人という保育士と何百人という子どもと接する機会がありました。
一緒に勉強したり、見学したり、働いたりと状況は違いましたが、そんな中で最近「子どもに懐かれる保育士ってどんな人だろう」と考えました。
懐かれなかったからと言ってきちんと保育をしていないとか、子どもに厳しいとかいう事ではなく(そういう保育士もいるにはいますが)、何となくの相性もあるのかな、とも思います。
ここ数年の私は、基本4人体制で子どもを保育する環境で働いていますが、年度によって子どもに人気の保育士が変わる事もあれば、常に大人気の保育士の人もいました。
そして「相性」という自分達ではコントロールが出来ない要素は置いておいて、それ以外でどんな保育士が懐かれているのかと自分なりに推察してみました。
話を聞いてくれる
まずは人間関係の基本と言いますか、子どもの話に耳を傾ける保育士は人気があります。
これは=我儘をきいてくれるという事ではなく、あくまで話を聞いてくれるという事です。
何かやんちゃをしてしまっていた時でも本人の言い分を聞いた上での話をする。
子ども同士喧嘩しているような時も、一見しての被害者の(泣いていたりする)子どもだけではなく両方の話をきちんと聞いた上で状況判断をして話をする。
もし保育士が子ども同士の喧嘩でどちらかが手を出した現場を目撃して、どうしてそういう状況になったのかを知らないうちから叩いた子、もしくは叩こうとした子を𠮟りつけたとします。
勿論どんな状況だとしても友達を叩くのはいけない事だという事を伝える必要はあるのですが、それが起こる一瞬前に相手の子がおもちゃを取った、叩かれた、などという事もあるかもしれないわけです。
そうだったら叱られた子は「どうして自分だけが叱られるのか」と悲しくなるし、癇癪を起したりします。
その理不尽さに心に傷を負う事だってあります。
だからこそきちんと子ども達の話を聞いて状況判断をする事はとても大切で、それをしている保育士は、悪い事をしていたら、それに対してはきちんと注意もされますが、やはり「自分に対して不当な判断をされない」と安心できるのか懐いている事が多いです。
反応を返してくれる
自分がした事や言った事に対して反応を返してくれる保育士も人気があります。
子どもが話している事を真剣に聞いて質問をしたり、遊んでいる時に邪魔をしない程度に自分の感想を伝えてみたり、子どもがしている事、出来た事を言葉にして伝えてみたりと、自分の言動に対して反応を示してくれる。
そうする事で「自分を見てくれている」という安心感が生まれるのか、もっと積極的に話しかけたり、自分がした事や作ったものを見せに行ったりしている子どもをよく見かけます。
そしてここで重要なのは、褒めているわけではないという事です。
あくまでその子どもが話している事に対しての返事や質問をしていたり、している事をそのまま述べているだけであって、決してそれをしているからすごいとか偉いとかいう事を言っているわけではないのです。
ただ見たものをそのまま伝えているだけです。
それでも自分が何をしているのか知ってくれている、というだけで嬉しいですよね。
自分を好きな人
これは人間関係の大前提な事かもしれません。
自分を嫌っている人、もしくは苦手だと思っている人にはやはり近づきがたいですよね。
特に子どもは相手の感情に敏感なので、自分達がどう思われているのかを繊細に察する事が出来ます。
察する事が出来てもそれを言語化したりするのは難しいですし、それに対して反抗するのか、比例した感情を返すのか、受け入れるのかは子ども次第ですが、その子どもに苦手意識を持っている保育士にはやはり懐かない、どころか余計に癇癪を起したりして、そうなる事で余計にどうすれば良いかわからず苦手になって…という負のスパイラルになっていってしまいます。
逆に子どもに対して「大好き」と言葉にしたりハグをしたりと愛情表現をしている保育士には、子どもは安心して一緒にいるように思います。
こうしてみると、子どもに懐かれる保育士って人間関係を構築していく上での大事な所を抑えているなぁと思います。
自分に対して興味を持って話を聞いてくれて、自分の言動を認めてくれて、好きでいてくれる。
甘やかすわけでも我儘を聞いてくれるわけでもなくても、自分という存在を受け入れてくれる。
それって子どもだけに限らず、私たちみんなが相手に求めている事なのではないかなぁと思いました。
嫌われるより好かれたい、と思うのは人の常だと思うので「懐かれる保育士」もしくは「好かれる人物」を目指して、まずは落ち着いて、口出しをする前にしっかり相手の話を聞く事から始めましょうか。
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