常昼の島の天使 ⑦
私はぷかぷか浮かばない
だって私の下にあるのは固い大地
今の私は森の女
でも 少しだけ
海でのことを思い返してみる
もしかしたら 私があの時やまなしを食べたから
やまなしの声が聴こえるようになったのかも
ただの幻聴という説が依然濃厚だけれども
やまなしが話しかけてきた
「もしかしてあなたは天使さまなんですか」
「そうよ、私は天使、海の天使、今は森の天使だけどね」
「やっぱり、そうなんですね」
「当たり前でしょ、女はみんな天使だって知らない」
「それはよく分からないですけれど、ご先祖さまが昔お月さまとお話した時に聞いたんだそうです、お月さまがいなくなって、お日さましか見えなくなったら、いつか天使さまがやってきて魔法をかけてくれるって」
「ここは常昼の島なんじゃないの」
「昔は夜もあったんですよ、そんなことより、あなたが天使さまなら魔法が使えるってことですよね」
「魔法ね、それはどんな魔法なのかしら」
「それは天使さまが知っているんだそうです」
「ふーん、わかった、まかせなさい、私が取っておきの魔法をかけてあげるから」
「ホントですか、やったぁ」
もちろん私は天使ではないけれど
やまなしの天使さまになってあげたい
大丈夫 魔法には心当たりがあった
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