常昼の島の天使 ④
私はぷかぷか浮かんでいた
長い間海を漂流していると
川から迷い込んで来た漂流者に出会うことがある
ある時私はクラムボンという少年に出会った
ホントは少女かもしれなかったし
大人かもしれなかった
どうだってよかったのよ
クラムボンが私に話しかけてくる
私は黙ってぷかぷか浮かんでいた
クラムボンはかぷかぷ笑って
私のお腹に何かをのせた
クラムボンはかぷかぷ笑いながら
どこかへ消えた
お腹の上にのせられたものを手に取る
ヒモサボテンの実のようだった
通称ドラゴンフルーツ
海に出たクラムボンは少し垢抜けるのかしら
折角ならやまなしが食べたかったのに
目を引く真紅の衣装を脱がしてやると
名前に反して素朴な白い果肉があらわになる
そこに少しやまなしを感じたからもうこれがやまなしということにしてしまおうかしら
嬉しくなんてないわよ
私には関係のない話だもの
初めて食べたやまなしの実は
思ったよりも甘い味がした
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