常昼の島の天使 ②

私は浮かんでいた
長い間海を漂流してきたの

こんなことがあった
小魚達が集まって大きな魚に擬態していたの
でも群れからはぐれてしまう魚もいて
何とか追いつこうと必死に泳いでいたら
それはそれは大きな魚がやってきて
擬態した魚の群れをひとのみしてしまった

はぐれた魚は途方にくれて
同じところをぐるぐる回っていたけれど
ついぞ食べられることはなかった

海の水が微かに濃くなったのを感じる

群れの中にその子の居場所はなかったけれど
群れを追いかけることこそが
その子の居場所だったのね

私には関係のない話だわ
海の水がこんなに辛いのは
きっとはぐれたあの子の悲しみのせいよね

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