常昼の島の天使 ⑧
私は絵筆を握っている
歌うことも好きだけれど
私の魔法といったらこれよね
私はただのプロの絵描き
でもプロの仕事は魔法のようなものだもの
絵筆を握りながら私は考える
問題の本質はどうやるかではない
何をしたいか
例えばこんなのはどうかな
やまなしに顔を描いてあげる
五感があればやまなしの世界は
もっと良くなるかもしれない
でも こんな話があったっけ
昔中国に七つの穴がない人が居た
目、耳、口、鼻がない人ってことね
彼の友人が善意で穴をあけたら
七つ開けたところで彼は息絶えてしまった
私は素朴なやまなしが好き
今のままのやまなしの世界観を愛してる
絵筆の力で五感を与えることは
私の世界をやまなしに押し付けること
今のやまなしの世界を否定すること
それだけは避けたかった
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