#プロトフェス4『Match up』終演、『星的現象論序説』を振り返って。
はじめに
プロトテアトル『フェスティバル#4 Match up』が終わりました。
『フェスティバル#3 Match pomp』や『悲しき玩具 Bang Bang』は長かった印象が強く終わらないんじゃないかと思いましたが、今回はそういうのはなく、あっさりと言うと語弊があるかもしれませんけど、なにかストンと着地したように感じています。
それはきっと、自分が作・演出だったことも影響しているのでしょう。しっかりゴールを設定して、逆算できていた証左なのかな。
なんというか、たくさん悩みことすれど苦しい場面は限られていて、演劇ってこんなに楽しかったんだと改めて思い出せた公演でした。
『星的現象論序説』を振り返って
さて、僕の作品である『星的現象論序説』を、簡単かつテキトーに振り返っていこう。
言わずもがな、吉本隆明『心的現象論序説』のパロディタイトルですね。
ただ、中身はほぼ関係ないので、熱心なファンには怒られそうにも思いますが、僕はこうして“風がふくように”創作をしたいと考えているので、今回のタイトルやそれに準じたチャプター名なんかもけっこう気に入っています。
感想への所感
次に「どのように受けとってもらっても構わなくて、どのような解釈も正しい」という超あたりまえの前提を踏まえた上で、いただいた感想への所感を述べていきます。
まず多かったのが「難しい」「難解」ってやつ。これはまったく予想していなかったことではないのですが、ふたを開けてみてここまで多いのかと、ある種ショックをうけました。
なぜなら僕としては、当初の構想より内容的にも構成的にもだいぶシンプルにわかりやすくしていたから。
劇団員のみんなに読み合わせしてもらったときに出たフィードバックをもとにそうした方向に舵を切った背景もあり、本番中にアンケートやTwitterを見ながら「まだダメなのか……」と打ちひしがれる思いでした。
とはいえ、3ステ目を観に来てくださった遊劇舞台二月病の中川真一さんが「いわゆるアウフヘーベンで、あたしはおもしろかったけど、この話をきちんと理解して楽しめる人は少ないと思う」とおっしゃっていて、僕の目論見が甘かったのだと反省するとともに、そこはあまり気にするところじゃないと初心に立ち返れたように思います(ありがとう、中川さん)。
ナンセンスのつもり
また「哲学的」も同じ。そう感じていただくのはぜんぜん自由で、有難いのですけど、僕はそんなつもりで書いておらずギャップがありました。
「じゃあ、どういうつもりで書いたんだい?」となると思いますが、一言で表現するなら「ナンセンス」ですね。
笑いについても、クスッとするというよりは引き攣った笑いになるといいなーと思っていて、宇宙とか星とか壮大でちょっと真面目そうなことを語っているのに常にどこか馬鹿馬鹿しくてちっぽけにも感じる……みたいな、そのアンバランスさや違和感を楽しんでもらいたい気持ちがありました。
じんわり悲しい
これは、今回お借りした劇場(ライブアートバー)MagaYuraの店主の扇芝さんが伝えてくださった感想です。
おそらく社交辞令も含まれているので額面通りに受けとる必要はないでしょうが、「ずっとじんわり悲しかった」の部分は本音だと感じました。
企画・制作の鶴山さんには「何がそんなに悲しいんだろうと思った」と言われたのもあって、そもそも僕が消えない悲しみを抱えて生きているのかもしれないな……なんて思ったり。
まあ、すべては演出、フィクションを彩る花に過ぎないんですけど。
じんわり沁みわたる感触は狙ってのものなので、うれしかったですね。
どう演出するのか?
もっとも悩んだのは演出。頭に浮かんだのは、身体を大きく動かしながら台詞を発するなど、いくつかの形。
どれも以前からやってみたいと思っていて、提案するか何度も迷いました。
しかし、入ったばかりの劇団でいきなり自分の色を出しすぎるとまわりがついてこれなくて破綻するだろうし、僕自身まだしっかりと方法論を確立できているわけではないので最後まで走りきれないと考え、そのへんのバランスにめちゃくちゃ気をつかったのです。
結果的には、わりとクラシカルな手法を用いたと思いますね。
これに関しては正直、心残りもありますが英断だったかなと。(いろいろな意味で)倒れてしまっては元も子もないので。
おわりに
総じて、決して満足はしてませんが、今後に繋がるいい作品がつくれたと自負しております。
楽ステの序盤、「さあ、只今より開演です」の台詞で拍手が起こったときは、胸にこみあげてくるものがあったなぁ。
もちろんそれらは支えてくれた劇団員たち、そして公演をともにしたペレイラくんチームやMagaYura等、関係者の皆さまのおかげで、言葉では言い表せないほど感謝しています。
ご来場いただいた方、気にかけていただいた方、本当にありがとうございました。またいつかどこかで。
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